52:一条 ページ2
今日は僕の誕生日。
月の寮で僕が主役のパーティーを催していると、周りがざわつき始めた。
来たようだね。
昼間街で会った2人。
まぁ、誘ったのは僕だし。
来るように言葉を投げたのも僕なのだけれど。
唆(ｿｿﾉｶ)されたと要は言うけれど、別に唆してはいない。
ここに来たのは間違いなく彼女自身の判断だ。
聞きたがっていた吸血鬼と人間の話をしてあげれば、彼女の瞳は悲しそうに揺れた。
枢の隣に彼女が座ったことで、会場中の視線が刺さっている。
可愛そうに。
確かにそこが一番安全だとは思うけど。
枢の話に耳を傾ける優姫ちゃん。
錐生くんはそろそろ限界、かな。
空気も悪いし。
そう思ってせっかく場を和ませたのに！
錐生くんが突然走り出したことで、優姫ちゃんがそれを追っていってしまった。
動く気配のない枢。
僕らは味気ない、タブレットドリンクを口に運びながらその様子を見守る。
「元人間のヴァンパイア、たまにやばい奴いるよね。タブレット、受け付けないやつ」
その言葉を聞いて最も反応したのは枢だった。
立ち上がり歩き出した枢について行くと、制止させられた。
次の瞬間気づく。
枢は、その言葉に反応したわけではないことに。
突然香った、今まで感じたことのない優美な匂い。
これは………
その場にいた全ての吸血鬼が一様に唾を飲み込む。
この優美な血の匂い。
間違いない。
ここ月の寮に、あの方がいる。
でも。
騒めく中、香った匂いは一瞬で。
まるで何も無かったかのように、時だけが過ぎて行く。
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クロ(プロフ) - 面白かったです！更新待ってます！ (2022年10月4日 15時) (
レス) id: 1724db8c95 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりか(プロフ) - 続きがとてもみたいです！！更新待ってます^ ^ (2021年4月24日 22時) (レス) id: ce3588ab80 (このIDを非表示/違反報告)
ぽん - 更新ありがとうございます！これから、主人公がどうなっていくのか、楽しみにしてます！ (2019年3月8日 16時) (レス) id: eadf73325c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏生莉緒 | 作成日時：2019年3月4日 5時
