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「兄さん、ご飯…」
テニスをやめ、部屋に引きこもるようになった兄に、何と声をかければ良いのか分からず。
ただの業務的な会話しかできなかった。
だって、兄をこうしたのは自分でもあるのだから。
食卓に兄が顔を出すことはなくなった。
父は俺に過度な期待をするようになった。
「お前が兄の分まで頑張るんだぞ」
そんなこと言われてしまえば、頑張るしかない。
でも、俺が頑張れば頑張るほど、兄は塞ぎ込む。
俺が優勝すればするほど、家族の溝は深まる。
その矛盾が、まだまだガキだった俺には耐えられなかった。
「兄さん、俺、もう疲れた」
部屋の前でポツリと愚痴をこぼした。
兄さんに言うことではないのかもしれない。
でも、この頃の俺にはこうするしかなかった。
こんなこと、俺に期待している人達には決して言えなかった。
「何のためにテニスをするのか、分からなくなっちゃったよ」
泣いたのはいつぶりだろう。
部屋の中にいる兄に届くようにではない。
心の中に溜まった色々なものをただ吐き出すかのように、ドアを背にうずくまった。
俺はただ、あの頃の、楽しく兄と父とテニスをしていた頃に戻りたかった。
「俺がお前だったら、俺らはお互いこんな思いしなくてすんだのかもな」
ガチャリとドアが開いたと思ったら、上から頭をクシャクシャと撫でられた。
その手が誰のものかなんて明白で。
不器用なその手は、泣き続ける俺を後ろから優しく抱きしめた。
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夏生莉緒(プロフ) - 夕霧さん» コメありがとうございます！コメ頂けると更新の活力になります！頑張りますのでこれからも応援よろしくお願いいたします^ ^ (2018年8月9日 16時) (
レス) id: e266ffce5d (このIDを非表示/違反報告)
夏生莉緒(プロフ) - 鈴さん» コメありがとうございます！これから過去編に入ります！末永〜〜くお付き合い頂けると嬉しいです^ ^ (2018年8月9日 16時) (レス) id: e266ffce5d (このIDを非表示/違反報告)
夕霧 - 次がとても気になります!これから更新頑張って下さい！ (2018年8月2日 1時) (レス) id: 8fe2495ae6 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - 夢主くんの性格がどストライクすぎて好きです！続きが気になりますね！更新頑張ってください応援してます！！ (2018年6月3日 19時) (レス) id: c43d6d3e45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏生莉緒 | 作成日時：2018年5月17日 23時
