今日:11 hit、昨日:2 hit、合計:248 hit
小｜中｜大
５７話 ページ10
この世のものではないような姿に恐怖を感じるが、時折訪れるカンヌの追撃で考えている場合ではなかったらしい。玉座に座っていた、朽ちる前のそれは何かを唱える度に空気を裂くような斬撃を入れてきたのだとか。ボロボロになっていく自身の体を再生させる箇所も限られ、髪の毛も死体のように朽ちていく一方で、常にすべてに気を張らなくてはいけなかった。
元々錆びていた槍も砕け、どう片付けるべきかと靄のかかる視界を拭うと、目の前には先程外にいたはずの泥がいたようだ。その化物にも左腕のようなものが形成されており、化物の手の装飾品に見覚えがあったという。
彼女曰く、この現状を打破してくれたのは自分ではなく。死人だった。泥の物体は王宮内に蔓延るアンデッドを沼底という名の自分の体内へ引きずり込み、カンヌが何度も唱える斬撃に耐え抜き、まるでレイナを守るようにそこに立ちはだかった。ちなみに例のそれは僕が産み出したものだが、その正体に気付いた彼女は怒り狂い、僕への殺意とカンヌへの殺意が混ざって............そこから記憶はないが、気付けばカンヌは悲鳴を上げながら骨となり、少女はカンヌを見下すような目をしていたようだ。
レイナがすべてを話し終えると、予想通りか、いきなり僕の首に手を掛ける。絞める力はないようだが、その睨むような瞳には興奮を覚えると言えば、少々力が強まったような気もした。泥の正体を察したコビーは、それを止めるべきかと迷っている様子。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：御法川 | 作成日時：2024年3月14日 20時
