王と神と作家、王の覚醒の刻【ONE PIECE】 (ページ8)

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５５話/また祭りの夜に会いましょうページ8

どうしてか弱い船長を信じ、最後にはすべてを託すのか。それを問われたスレットは答える。

「アンデルセンは分かってないな。全部終わった今なら理解できるだろ？挫くことを知らなかった俺たちを置いてけぼりに、船長はあっという間に次のステージに進んでいる。そういう女だって昔から知ってるんだ。そりゃあ信用ぐらいするだろ？」

誰よりも心が挫かれることを知り、そこから歩み出すことも知る彼女こそ、信じるに値する。しかしそんな方法であのような女性に託す気になれるものだろうか？次にヴィアに問うも、答えは似たようで全く違うものだった。

「そもそもレイナは弱くないわよ。泣き出したら確かに子供って感じがするけれど、ブレーキが壊れたレイナは怖いわよ。微かな感情の揺れで、その人がどこにいるのか、何をしようとしているのか、全部把握できちゃう。おかげで昔からあの馬鹿を殺せず、スレットも取られて......クソみたいなこと思い出させないでくれる！？」

では通常の時は頼りにならないと。そう聞くと、それも違うと作家は怒鳴られる。慌てている時でも状況把握だけは完璧で、攻略法を見つけたらすぐに敵を殺せると。
まだ足りない。まだ物足りない作家は、もう一度聞く。結局、あの女性を信頼できる理由はなんなのか。それは畏怖によるものか？

「そりゃあ......決まってるわよね、スレット。」
「流れだよな。というか運良く船長になったからには、ラスボスぐらい倒せるほどの実力がないと困る。ビッグ・マムもその辺分かってなかったよな。何度も言うけど恐怖イコール信頼とかじゃなく、信じてやってるから頑張れよってやつ。」

作家は聞いて呆れた。実力云々より、それぐらいやれよのスタンスから彼女に託しているという事実に。しかしそんな呆れるような会話からも微かに信頼を感じ取った作家は、次に彼女の父と雑用係から話を聞こうとするも、父親は孫の世話で忙しいと逃げ回り、雑用係は今も行方知れず。
当の本人ときたら、レイナとしての夢を見つけたいと言って、あの日から連絡すら寄越してこない。作家は何度もあの日を思い返す。あの王宮跡で、何があったのか。