５３話/帳消し ページ6
「よくもそんな偉そうなことが言えるな......？」
「だって俺たちは強いからな。クロコダイルも、ミホークも、バギーも、海軍も、船長に命令されれば殺すつもりでいたし。忠誠心だけは無駄に高いんだよ、覚えとけ。」
「その女に雇われ、ここに来たって察することはできないのか？」
「雇われるほどの実力があったんだな、お前ごときに。」
互いが睨み合う最中、再びこちらに殺意を向ける者が複数。そんなことには全く気付かないクロに構わず、スレットはクロの頭を鷲掴みにして敵に投げつける。運良く邪魔者が死ねばいいと考えていたようだが、どうしてか船に残っていたはずのコビーがそれを受け止め、その周囲にいた子供らは戦闘不能になったようだ。
戦いが終われば縛り首とまではいかないが、十年近くは投獄させてもらう。自首しなければ死刑だ。そう脅しをかけてクロを解放し、以前のように元気そうな笑みを浮かべてコビーが駆け寄る。スレットもヴィアに背中を押されたのだろうということを察し、海賊は任せますと言って王宮跡へと消えていく。面倒な役割を任せられたスレットは深くため息をつくも、船長に寄せられた信頼を思い出すことで立ち直った。
「問題児のリーダーか......疲れるんだよな。クロスギルドの野郎ども！それから最弱海賊！ガキを殺したら、テメェら全員インペルダウン行きだからな！！！」
おそらく、基本殺しが生業である海賊にとっては、最も難しいであろう不殺の任。それを託し、スレットは我先にとアンデッドを殺し始める。
それを近くで見ていたリリーは、笑うわけでもなく地に潜り、消えた。
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作者名：御法川 | 作成日時：2024年3月14日 20時
