最終話/在る公園 ページ50
公園の名前に人名はありえないだろう、と。今でも家族によく言われる。
確かにA公園はさすがにセンスが悪すぎるだろうか。しかし今となっては子供たちには好評であり、勝手に訪れる観光客からは金を巻き上げているし、万々歳ではないかとも思う。今日も今日とて息子と娘が遊んでいる姿を眺めながら、いつもの日課で紅茶を一杯。
目の前にはいつにも増して不機嫌そうな旦那。旦那には少し苦めの紅茶を一杯。
「今日はタクトとどんな喧嘩をしたんだい？」
「ガキみたいな理由だから言わん。」
「......さては今朝のオムライス、横取りされたな？タクトが吐きそうな顔でトイレに駆け込んだのが見えた。子供相手にそんな態度じゃ、私の旅を語り聞かせるのもまだ先になりそうだ。」
旦那は紅茶をぐっと飲み干し、また一杯と小さなティーカップに紅茶を注ぐ。
遠くで新しい武器の性能を確かめようと、決闘をする馬鹿二人も眺めていると、机に置いていた手に旦那の手が触れた。
「ん？たまには繋ぐか？手。」
「悪いか。」
「いいや、悪くない。どれだけ歳をとろうが、君と手を繋ぐのは......居心地がいい。これが普通の生活なんだって実感できる。」
子供を本当に愛してやれているか。家族に家族としての愛を向けれているか。それはまだ分からないが、私が帰ってくる度におかえり、と笑顔で迎えてくれているのなら。少なくとも今の私は間違ってないと思わせてくれる。
昔の旅も楽しいものだったが、今はもっと、永遠にこの時間を過ごしていたいと思えるほどに幸せで、眠たくなりそうだ。
終わり
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作者名：御法川 | 作成日時：2024年3月14日 20時
