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90話 ページ44

暇になってきたなぁ、と。男が船内のロッキングチェアに揺られながら呟く。煙草でも吸おうかと迷いはしたが、子供の世話係に任命されたからには我慢しろよと圧をかけられ、船へ帰らされたため、もう十回以上は目を通した本を何度も読みながら、赤子の世話を続けている。
相変わらず泣きもしない子。しかし唐突に船が大きく揺れるほどの衝撃、覇王色の衝突に男が慌てた瞬間、赤子は泣くかと思いきや、きゃっきゃと笑っていた。この子が笑うということは、今の衝撃は、と男はすぐに気付く。

「......レイナ。直接あなたの助けになれないのが、口惜しいものです。でも旅をしたのでしょう。たった一人で、遠くまで。それなら心配は無用、ですよね?」

大人として、新たな一歩を踏み出す。そのために今、何かと戦っている彼女のために。自分はこの子を命懸けで守らなければならないと改めて誓い、男はもう一度椅子に腰を掛ける。
............どれぐらい時間が経過しただろうか。外が騒がしくなり始めた頃に、男は様子を見るぐらいならいいだろうと、甲板に顔を出す。
どうやら騒がしいのは船上ではなく、地上のようだった。たった一人の海兵に追われる東の海の海賊と、それを囮にさっさと逃げ出す海賊たち。収集がつくのだろうかと呆れるほどの事態を起こした者の影に気付いた男は、だいぶ嫌そうな顔を浮かべていた。

「ランのそんな顔を見れるなんてね。......もしかして、カンヌの首は持ち帰らない方がよかった?」
「子供に悪影響過ぎます。そんなもの、海に捨てて魚にでも食わせなさい。」
「海兵の死体と一緒に燃やすなり埋めるなりにしとくよ。というか、それがコビーからの頼みだからね。ラン、お世話と留守番ご苦労様だよ。あなたからもらったこのネックレスも、旅先で力になってくれた。」

男に労いの声をかける船長に、嫌そうな顔をしていた男はすぐにいつも通りに戻った。一瞬のような、退屈すぎるほど長かったような時間が終わったことに安堵した男の腕の中で、赤子はまだ笑っている。

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設定タグ:ONEPIECE , 海軍 , 微閲覧注意   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:御法川 | 作成日時:2024年3月14日 20時

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