８０話 ページ34
Aが四人の元へ歩む度に、足元の花は枯れ、朽ちていき、やがて灰となる。学校の美の象徴であるはずだった庭園だが、今この場ではただの戦場。
レイナの中で眠り続けていた、もう一人のAの復讐。自分達の知る彼女の人格は復讐心を持たなかったが、本物と出会ってしまったことで、少なからずその影響を受けたのだろう。幼少の頃、自分達を許したAはどこにもいない。眼前に立つのは、一般の女性が持つには大きく、重すぎる斧を軽々と振り回すA。
それから自然と分かったのは、今この場でAを攻撃できるのはスレット、ただ一人。一人が絶命するまで、他は攻撃対象にもならず。彼女から脳に送られた情報というものかは分からないが、同じように理解した二人もただ後ろから見守るだけ。クロコダイルはすぐに応戦できるよう、その体を砂に変えた。
スレットも武器を構える。心許ない剣だが、女性の首を落とすには足りる。その判断がすぐに間違いであったと気付いたのは、間も無くのことだ。
「(やべェ、首、落とされ)」
「カウント開始、5。」
カウントが始まると同時に切られ、視界が逆さまになり、頭に血が上るような感覚がする。自分の体だったはずのそれは血を吹き出しながら倒れ、Aは徐々に首との距離を詰めてくる。
応戦態勢に入っていたクロコダイルによって、首と胴体はすぐに回収されるも、Aの殺意からは何人たりとも逃れられず。加えて先程のカウントはおそらく、本当の意味での絶命ということなのだろう。もしただ切られるだけでカウントされるのだと推測すれば、残り四回しかライフはないのだろう。
第四の試練は、確実に相手を殺すための最終兵器。改めてそれを理解した時、兵器は空高く跳躍し、その巨大な斧を眼前の敵に目掛けて投擲した。
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作者名：御法川 | 作成日時：2024年3月14日 20時
