王と神と作家、王の覚醒の刻【ONE PIECE】 (ページ24)

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７０話ページ24

誰の逃げも許さない。立ち向かう。逃げさえしないのなら、ヴィアは船長の選択を信じる。それが例え、あなたの人間性を捧げることだとしても。ロジャーの逃げの選択を否定するための犠牲ならば、ヴィアが許す。
でも。あなたの旅路の果てで、あなたが人間でなくなるとしたら。私が助けるから。あなた自身も忘れかけている、あなたの夢を叶えるために。

「......憧れのトパーズ、か。そうね。クリーク、アンタにも一回励まされたのは、ちょっとムカついたわ。甘ったれた夢なら殺すっていったくせに、逆に私がそうするって言ったら、笑いながらやってみろって言ってくれちゃって。サボ！クロコダイル！私が馬鹿の動きを止めるから、アンタたちは自分の武器を探して馬鹿を殺して！！！」

制止する初恋の人を他所に、私は駆け出していた。長い廊下の先にいる二人に、届くかも分からないが声を出した。
何度も、何度も、昔を思い出す度に、私は私の夢だったもの、これからなりたいものの欠片を拾い集める。一歩、また一歩と駆ける度に、私の夢はこれだと、私を証明するものはそうなんだと言えるものを思い出せた。
私は医者になりたかったんだ。一夜にして失った数々の命を前にして、目を逸らしていた事実に再び立ち会うように。今度は何者からも目を逸らさず、誰かの背中を押してあげられるように。
誰にも許されなかった選択を、私が支えてあげるように。
もう、目の前で大事な人が死ぬのは嫌だから。
長い長い廊下の果て。クロコダイルに向け、再び刃を振り上げる女を羽交い締めにする。本物のレイナであれば易々と振りほどくだろうが、想像通りだ。ここにいるレイナは、筋力が劣っている。

「......私の動きを止め、どうする気ですか。」
「私たちの攻撃は変わらず通じないんだろうけど、少なからず影響は受けるんでしょう......！？このままサボの炎でアンタの視界を塞ぐ！信用したくもないクズにトドメをやるのは、本ッッ当に癪だけどね！！！」
「確かに。先程よりも勢いが増した炎に、私よりも優位な筋力。私の動きと視界を制限するには、足るものでしょう。......見事です。一人足りませんが。」

哀を断罪する強き夢、見事。これにて第二の試練は完遂される。あなたたちには次なる舞台が待ち受けていよう。
その言葉と共に、砂漠の支配者の義手がレイナの心臓を。ヴィアの拘束をものともせず、その手に握られた剣が支配者の心臓を貫いた。