王と神と作家、王の覚醒の刻【ONE PIECE】 (ページ23)

今日:31 hit、昨日:2 hit、合計:268 hit

６９話ページ23

自分という存在を証明するもの。
それはなんだろうか。参謀であれば、兄弟の意志が一番なのだろう。もしかすると革命軍としての何か、かもしれないが。
では。自分は？ヴィアは、なんだろう？結局スレット共々、昔から何も変わってない。必要があれば敵を殺し、痛め付け、資源を略奪し、とにかく自分が優位に立つように意識してきた。ただそれだけのこと。

■■

それはあの日、一度海賊団が解散してしまった日より以前から志していたもの。その夢はどこから来たものだったか。ただの加害者であり、復讐で殺されるはずだった自分は、何故そんなものを目指そうとしたか。彼女は今一度、自分の在り方を見つめ直す。サボの攻撃が通りだした理由と、最初に三人の攻撃が通らなかった理由と、多少は当たるはずだったクロコダイルの攻撃だけは受け止めた理由。
私の夢は私の存在証明。私を私だと証明する理由。その名は。
ヴィアはふと思い出す。過去、ある海賊と話した日のことを。

「クリークは本当に騙し討ちが好きね。ヴィアの船長とは大違い。......分からない？私たちは他者を騙さずとも、正面から堂々と潰せるって言ってるの。」
「喧嘩でも売ってんのか？」
「そりゃあね。一つ弱点があるとすれば、私たちの船には一生■■が乗らないだろうってぐらい。新世界にいつか戻るにしても、さすがに■■がいないと危ないって言ってるのだけれど、また今度ってはぐらかされてばかりなの。だからね、私は夢を持つことにしたわ。あなたのような非道な男が持つように、非力な私も志すことにしたの。」
「わざわざおれの隣に来たんだ、聞いてやろうじゃねぇか。甘ったれたことを言ったら殺すぞ。」
「......私はね、■■になりたい。救える命は全て救う。悪人もそうよ。善人が善でいられるよう、悪人が悪でいられるよう。死による逃げなんて、絶対に許さない。生きて、この世界で自分だけの答えを見つけてもらう。」

なんて。前者は半ば嘘のようなもので、後者だけが正解だ。心のどこかで気付いていたのだろう。自分達が船長と慕っていた女は、自分達の知るAではないのだと。そうでなければ、Aによく似たあの死体......分断されたように地面に落ちていた、ぐちゃぐちゃの頭の説明がつかない。