62話/第一の試練、焦がす炎 ページ16
騎士じゃない。そう言いそうになるが、彼らは自分の体が少しだけ重いことに気付いた。今身に付けているそれは紛れもなく騎士としての装備、しかし動きやすい素材で作られているのか、動きに支障は無し。同様に刃も通さぬような鋼鉄の鎧。彼女がそれを見てはしゃぎ始める。
「能天気な女だ。......使える武器は義手のみ、砂になれやしない。そっちはどうだ?」
「ヴィアは武器を置いてきたし、俺も武器を創造できない。この地で剣が調達できるなら問題ないけどな。ローリアス家も元は騎士の家系、礼儀より先に戦いを叩き込まれた。」
「ヴィアは薬の調合が上手くいけば......あなたは?どこかで見た顔だけれど、力にはなるのよね?」
「......まあ。他二人は知ってるだろうけど、一応名は伏せておくよ。」
私の騎士、これからこの国を守ってくれる優しい騎士。
ありがとう。こんな危ないことを引き受けてくれて。優しい笑顔で感謝を述べるレイナだが、突如彼女は全身が灰となる。先程まで彼女がいた場所には、彼女が身に包んでいたものしか落ちておらず。
急すぎる展開に頭が追い付かないヴィアに対し、他三名は感づいていた。
何かが来た。それは強敵ではないが、何者の刃も通さず、言の葉に耳を傾けず、ただその場に佇む本物の騎士。騎士は長剣を地に突き刺し、戦闘に入ればすぐに斬り伏せるであろう態度で、こちらに言葉を紡ぐ。
「私は炎。その身を焦がし、国も友も失った。主の名はレイナ。私に道を示せ、怒りのルビー。目の前ですべてを失った私に、あなたらしい答えを示せ。」
「......なんでだろうな。よく分からない場所で目覚めて、急にそんなこと言われても、どうしてか自分だって理解できる。俺らしい答えじゃなく、ここにいるはずだった騎士の答えを示すんだろう?」
選ばれたのは革命軍の実力者、サボ。
あなたが示すべきは、怒りの矛先。失った兄弟/友のため、その怒りは誰に向けるべきものだったのか。
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:御法川 | 作成日時:2024年3月14日 20時