王と神と作家、王の覚醒の刻【ONE PIECE】 (ページ15)

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６１話ページ15

一人はローブの男、怒りに支配される未来があり得た者。
一人は砂を操る男、夢破れ地の底に突き落とされた敗北者。
一人は知識と破壊力を持つ女、かつて憧れたそれを自ら突き放した愚者。
一人は課外の男、半ば諦めたものを否定してきた者。
最後の一人は、レイナ。レイナは驚いた様子だったが、これも運命かと呟くとそのまま地に倒れ伏せた。他四名もたいした傷ではなく、体内とはいえ致命傷にはならなかったが、それとはまた別に眠気に襲われたのか、視界が閉ざされる。その場に呼び出された者は訳も分からないまま、ただその場に残されてしまった。

............
どれぐらい経っただろうか。まるで自分達の目覚めを祝福するように、鐘が鳴る。先程まで崩落した夜中の街に倒れていたというのに、目を開けばそこは花畑だ。森に囲まれ、木々の隙間からは太陽の明かりが差し込む。

「まあ、大変。ここってよく人が眠っているのよね？新種の花が客人を眠らせているのかしら？それとも、気持ちよくなって眠りについたのか......研究が捗りそう。おはよう、こんにちは、こんばんは。あなたたちは見ない顔だけれど、もしかして自由の国に訪れた客人かしら？」

四人はその顔を見て驚くだろう。上流貴族のような美しいドレス、寒さ対策か高級感のあるコートを羽織る女性。その頭にはダイヤのように輝く王冠が乗せられており、首元には見覚えのある赤い宝石のネックレス。
間違いない。いつも電伝虫越しに話していた人だ。偽善を自覚している憎たらしい女だ。自分達を許した人だ。帰りを待っていた人だ。

「レイナ。」

名を呼ぶと、女性は不思議そうに目を細める。まだ名を公表する前で、誰も自分の名は知らないはずなのだけれどと言う彼女。
彼女はレイナであって、レイナではない。そう察しはついたが、首元の宝石は紛れもなくランが渡した宝石と同一のもの。こんなに共通点があって本物じゃないのかと頭を痛めるも、女性は彼らの手を引っ張って城内に行きましょうと言い出す。

「ええ、ええ！思い出したわ！あなたたちは私の騎士。つまりは自由の国となる、この国の騎士だったわ！私は今日からこの国の統治者となるレイナなの。改めてよろしくね！さあ、新たな門出を皆で祝いましょう！」