49話/不老不死、見守る選択肢 ページ2
レイナが海兵たちにカンヌの処理を任せ、一人別の場所へ向かう。この業は私一人が背負うべきだと語る彼女の背中を追えたのは、彼女の仲間とコビーだけだった。
この間、とうとう昏睡より目覚めなかったヴィア。消えた少女の行方。安易に殺せぬリリーの存在。山積み過ぎる問題の中、レイナはまず子供たちの死体を処理することにした。
「皆には任せれない。」
「何も気付けず、その上戦わなかった僕たちの責任です。任せてください。」
「......私がそうさせた。君たちに非なんてないでしょ。」
それすらも彼らには手伝わせようとしなかったが、カンヌがいた船内の惨状に耐えかねた彼らは進んで手伝う。
レイナがカンヌの心臓を潰したように、何人かの心臓が破裂していた。蹴りでその身体を裂いたとき、子供の身体も裂かれた。レイナが殺した分、子供たちは死んだ。その人数は百を越えるものであった。死体には常に怯え、泣いていた形跡もあった。これを救えなかったのは、レイナただ一人の責任ではない。
頭の中ではそう理解していても、声をかけようとすればレイナは姿を消している。このまま罪を背負わせ、生涯一人にさせてはいけないというのに。そう思う度に、コビーの心臓は誰かに強く握られるような感覚に襲われる。
作業が夜まで続き、夜風に当たっているレイナをランが見守っている時だ。よいしょ、よいしょ、と子供が近付いてくるような声が聞こえてくる。
「......リリー?」
「やあ!お花のリリーだよ!カンヌはまだ死んでないのに、どうしてくつろいでいるの?」
リリー・カーネーション。黄泉の国にいる死人たちを蘇らせる、邪悪な花。その量産型。リリーが何を言ってるのか理解できなかったランだったが、レイナはその言葉の真の意味を理解したのか、再び島の中心部に向かおうとしていた。
ランはそれを止めようとすることだろう。しかし、彼女の睨むような瞳は彼らの行動をこれ以上許しはしなかった。
「待機。」
「............」
「必ず戻る、と思う。嘘まではつけない。」
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:御法川 | 作成日時:2024年3月14日 20時