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お母さんは私が怖いと言うと、すぐに抱きしめてくれた。薬を渡してくれた。
気管支喘息...その病気が治りつつあるのは知っている。今の私を苦しめるのは、謎の幻覚だった。
｢...冷たい。｣
神崎｢ご、ごめんなさい。もうすぐで保健室だからね。まさかあの人の氷が本校舎にまで影響しているなんて...｣
榊原｢君はE組の...A！？大丈夫なのか！？｣
あ...そうか。これはお母さんの氷なんだ。たまに私に見せてくれた、素敵な魔法だ。
｢だ、大丈夫...でも、薬は飲んだけど...まだ...｣
神崎｢...Aちゃんのこと、よろしくお願いします。｣
榊原｢待ってくれ！今起きていること...それを知っているなら教えてくれ！｣
｢...榊原...｣
榊原｢苦しいならあまり喋らないでくれ。今保健室に｣
｢お母さんがやったことなの...だから、心配ないよ...すぐに終わるから...｣
榊原｢...｣
｢ありがとう、神崎さん...｣
お母さんのことが心配だけど、渚が止めてくれる。今のお母さんは少しだけ怒っていて、心配していて、泣いていて...今の私なんかより苦しそうにしている。
｢榊原...聞いて。E組の皆はね、優しいんだよ。思いやりがあって、少しずつ支え合って...頑張って今を生きようとしているの。｣
榊原｢...｣
｢お願い...もういじめないで...皆と仲良くしてよ...私の最後の...願いなんだから...｣
死にそうなぐらい苦しいなぁ...
学秀｢何が最後だって？まだ五月だろう。｣
｢...それじゃあ...頑張って私のこと、保健室に連れていってね。私のお願いも、たまには聞いてくれる...？｣
荒木｢善処しておく！こっちが近道だ！｣
｢ははっ...なんだ。やっぱり優しいじゃん...｣
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作者名：琲世 | 作成日時：2020年12月9日 22時
