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｢あっ｣
ふとした瞬間に転んだ。Aがドジでも踏んだのかと思ったが、C組の男が足を引っ掛けたらしい。
｢あはは...ドジしちゃったなぁ。立たないとっ...｣
Aの指が力強く踏まれる。
...我慢ならない。
学秀｢立てるか？｣
｢...普通にドジしただけだって...｣
学秀｢すみません。同級生の具合が悪いようなので、保健室に連れていかせてもらいます。｣
荒木｢あ、ああ...わかりました。｣
｢...ちょうどお薬の時間だったけど、学秀って私の生活管理してる？｣
学秀｢しなかったら今頃死んでるだろ。｣
｢心配ないよ。現役自衛隊の両親からサバイバル術を習ってるんだから。｣
ここまでされて怒らず、泣かず...優しくされたE組にとっては拷問の時間だろう。とても苦しいだろう。だからって慈悲をやるつもりはないが、僕にとっても耐えられない光景だ。
学秀｢お前は一応...僕の幼馴染みだ。あの時のこと、覚えているか？僕が初めて問題を理解できなかった小さい頃のこと。｣
｢あったねぇ。私が教えようとしたら、別にいいって問題投げ捨てたの...よく覚えてるよ。｣
学秀｢その時、お前は僕に怒った。一度やろうと思ったなら逃げるなって。それで逆ギレしたら...初めて泣いてくれたな。｣
｢...｣
思い出した。彼女が感情を露にしたのは、全て僕の未熟さからだった。
あの出来事以降、彼女は怒りもせず泣きもせず...僕のせいで感情を露にすることをやめたのかもしれない。
だから、彼女が決めたことをもう覆せなくとも、せめてこの体は守ってやりたい。
学秀｢別にお前のことが好きって訳じゃない。ただ...自分の体を大切にしてくれ。｣
｢...善処する。一応聞くけど、いじめられたらどうすればいいの？｣
学秀｢どうしようもなかったら僕の名前を呼べ。何処にいようと助けに行く...｣
榊原｢やっぱり付き合ってるようだね。｣
学秀｢...助けない。｣
｢理不尽じゃない！？こんな美人を助けなかったら、世界の損失だよ！？｣
学秀｢さらに助ける気が失せた。｣
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作者名：琲世 | 作成日時：2020年12月9日 22時
