私に彼氏ができない理由【Ryuto.S】 (ページ31)

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龍斗side

連れてこられたのは誰もいない空き教室

机と椅子が積み重なっていてどことなく空気が埃っぽい

目の前にいる背が低い女の子はずっとニコニコしている

作「あの、用事って？」

そう問いかけると女の子に「私のこと知ってる？」って問い返される

作「ごめんね、俺からしたら初めましてな気がするんだけど」

初めて見るような気がするんだけど、どうやら相手は初めましてじゃないらしい

『なんだー、残念私の名前は相馬利麻っていうの覚えて欲しいな』

髪の毛を指でくるくるしながら話す彼女はどことなくAに雰囲気が似てる

こんな時にもAのことを連想してしまう俺はだいぶ重症なのだろう

作「...相馬さん、何回も聞くようで申し訳ないけど、要件は？」

言い方がキツくならないように微笑みながらそう問いかける

『私と付き合ってほしいなって』

そう笑いながらいう相馬さんはどこか楽しそうで香水のちょっときつい香りが鼻を掠める

作「...ごめんね、俺『真城さん』

作「え？」

『作間くんの好きな人って真城Aさんでしょ？』

『知ってるよー』なんて相変わらず髪をくるくるさせながら言葉を発する相馬さん

作「じゃあ話は早いね、相馬さんとは付き合えない。ごめんね」

そういいその場から離れようとすると後ろから掴まれた腕

『真城さんのこと好きでもいいからさ、私と付き合ってよ』

作「何言って、」

『真城さんの好きな人は作間くんじゃないよ』

相馬さんから発せられたその一言

作「っ...！」

今の自分に重くその言葉がのしかかり、まるで心臓を握り潰されているかのような感覚に陥る

『真城さん今日優斗先輩と登校してたし、あの2人もしかしたらできてるんじゃない？』

『すごく楽しそうだったよ、まるでカップルみたいだった』

優斗先輩、きっと連絡先を交換した人だろう

一緒に登校してた、なんて知りたくなかったことを知らされ心臓の鼓動が更に早くなる

『真城さんのことなんか忘れてさ、私と付き合おうよ』

そう目の前で平然とした顔で微笑む相馬さんは

まるで悪魔みたいだった