私に彼氏ができない理由【Ryuto.S】 (ページ28)

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龍斗side

部活が終わり1人の帰り道

まだ汗ばむ肌に制汗剤をつけながらボーッと歩く

俺と同じ部活終わりの人たちだろう、外は真っ暗だけど周りには人がちらほらいる

『は！？連絡先交換したの！？』

すると前から聞き覚えのある声が聞こえてくる

あ、瑞稀くんだ

去年の体育祭の実行委員で一緒になってから何かと仲良くさせてもらってる瑞稀くん

一緒にいるのは友達だろう、3人で仲良く肩を並べて歩いている

『ばっ...！お前声でかいって！！』

『今の優斗の声の方が何倍もでかいから』

『えー、なになに連絡先交換したのー？』

周りに人が少ないせいか3人の声はやけにはっきり聞こえてくる

恋話かな、なんて思いながらポッケからイヤホンを取り出し片耳につける

もう片方をつけようとした瞬間

『よかったじゃん、Aちゃんの連絡先ゲットできて』

A、確かに瑞稀くんはそう言った

イヤホンをつけようとしていた手がピタッと止まる

いや、もしかしたら人違いかもしれない

おんなじ名前の人もこの学校にいるし

頭の中ではそう考えていても速さを増していく心臓の音

『お前らが部活終わるまでの間俺は頑張ったんだよ』

『今日も行ってたんだ図書室』

図書室、確かAは今日当番だった

Aのことを話してるんだと確信へと変わる

それ以上話を聞きたくなくてもう片方の耳をイヤホンで完全に塞ぎ込む

「...」

ほら、だからAとクラスが離れるのも嫌だったし俺と違う委員会に入らすのも嫌だった、

なんでそう知らない間に他の男と仲良くなってるのかな、

自分の中にある独占欲が日に日に大きくなっていってる

幼馴染という立場を使ってずっとAのそばに居続けていた、Aのことは自分が一番よく知っているつもりだった

お願いだから俺から離れて行かないで

俺がこんなこと思ってるって知ったら君はどう思うのかな