あいにだかれて

8 ページ8

増田side


ぐずっている手越を宥めながらベッドに寝かせる


「明日のこと、マネージャーに連絡するから
少しだけ待ってて」


リビングに戻ってスマホを手にして

マネージャーへ連絡する

〈もしもし？〉

〈増田です。遅くにすみません。実は手越が熱出して……明日の仕事、調整できますか？〉

〈えーっと……あぁ、はい。出来そうです。手越さん大丈夫ですか？ゆっくり休んでもらってください〉

〈ありがとうございます。突然ですみません〉

〈いえいえ。大丈夫です。お大事になさってください〉

よし、とりあえず仕事はOKだ


次は……あいつ

〈ごめん、明日行けなくなった〉

すぐ既読がつく

〈どうしたの？なんかトラブル？……手越くん？〉

〈あー、うん、ごめん〉

〈気にしないで！また連絡してね〉

思いのほか、あっさり了解をしてもらえたことに
ホッとする

〈ごめんな。絶対埋め合わせする〉

〈ありがと。期待しないで待ってる〉

メッセージの後に、“おやすみ”のスタンプ

こんな短いやり取りで、じんわり温かい気持ちになるのは何故だろう

手越のことが大切

それは変わらない

だけど、こいつの存在が少しずつ大きくなっていく



なにやってんだ、俺は。



ふうっと溜息をついて寝室へ戻ると

不安げな表情の手越がこっちを見ていた

「タカ……」

「明日オフにしてもらえた」

ベッドに潜り込むと身体を擦り寄せてくる

「寝なくてもいいから、目瞑ってな」

「ん……」

言われた通りに目を瞑る手越を抱きしめて

俺も目を閉じるけれど朝になるまで眠りが訪れることはなかった

9→←7

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す