あいにだかれて

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増田side


「タカ……」

ゆっくり服を脱がせるけど、身体が震えてる

「………こわかったね」

「……っ…」

なんて言葉をかけるのが正解なんだろう

シャワーで身体を綺麗にしてやっても

この紅い跡が消えても

こいつの傷は消えない

「タカ……タカ…っ」

泣きながら何度も俺の名前を呟く手越は

まるでスイッチが切れたように動かない

「……きれいになった。もう大丈夫だから」

大丈夫なわけない

こんな言葉、なんの気休めにもならない

だけど、そう言うしかなかった

明日は仕事……休ませるか

こいつは嫌がるだろうけど緊急事態だし



バスタオルで身体を丁寧に拭きながら

混乱させないように優しく諭す

「てごし？……明日は仕事、休ませてもらおっか」

「おれ……いく」

「だけどこんなんじゃ撮影できないでしょ」

「………っ…」

「明日は俺もオフだから……一緒にいよ？」

「タカ……っ」

大声を上げて泣き出した手越

「大丈夫……大丈夫だから」

「おれ…っ……ここしか帰るとこなくて…」

「……わかってる」

「だから……だから……っ」

「うん」

「ごめんなさい……ごめんなさい…」

「どうしてお前が謝るの？なにも謝ることなんてない」


抱きしめると手越は遠慮がちに背中に手を回した

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