あいにだかれて

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手越side


帰りのタクシーの中で、

タカになんて言えばいいのかずっと考えてた

本当は、こんな身体見せたくない

だけど早く会いたくて

俺の還る場所は、あの人のところだけだから

今日は遅くなるって言ってきたけど

きっと起きて待っててくれる







タクシーを降りて部屋を見上げると

やっぱり灯りがついてる

タカ……起きてるんだ

それだけで涙が止まらなかった

玄関の鍵を開けてリビングへ向かう

ドアを開けると、タカの“おかえり”が聞こえる

いつも通り

いつも通りじゃないのは、俺の身体とタカの表情



「て、ごし……？」



そんな顔しないで

俺のこと、そんな目で見ないで

視線が痛くて思わず下を向くと

タカの手が伸びてきてシャツを捲り上げられる

息ができない

お願い

見ないで……

タカも声が震えてる

シャワーを浴びなって言うけど

涙が止まらなくて

息が苦しくて

どうすればいいの？

もうなんにもわかんない

タカの服をぎゅっと掴んで首を振る




ごめんなさい

こんなことになるなら

怖がってないでタカにきちんと聞けばよかった

“誰か他に好きな人できたの？”って

“もう俺のこといらないの？”って

本当にバカだ

立っているのがやっとで歩けない

シャワー浴びなきゃいけないのに

タカを困らせたくないのに



「……おいで」

歩けない俺を支えてバスルームへ連れて行ったタカは

「きれいにしてあげる」

そう言ってぎゅっと抱きしめてくれた

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