あいにだかれて

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手越side


「…どこ行くの？」

「泊まってるホテル、どこ？」

ホテルの名前を告げると、タカはハンドルを切った

車がホテルの駐車場へ入っていく



「ついたよ」

「うん……」



マンションに連れて行ってくれないのは、有岡くんが待ってるから……？

迎えに来てくれて舞い上がってたけど

ここでバイバイかもしれない

でもさっき……キスしてくれたよね…

でもでも、あれは亮くんに見せつけるためだったかも



「降りないの？」



降りたくない

このまま一緒に帰りたいけど


「ありがと。気を付けて帰ってね……」

「は？お前、何言ってんの？」

「え……」

「今日もホテルに泊まるつもり？」

「だって」

「さっさとチェックアウトしておいで」

「……いいの？」

「じゃなきゃ、迎えに行ったりしないでしょ」



さっきの暗い気持ちはどこへ行ったんだろう

自分の単純さに吃驚する

軽い足取りで車を降りて部屋の荷物をまとめる

急いでチェックアウトして、タカのところへ戻る



「帰ろっか」

「うん」



タカは片手でハンドルを持って

もう片方の手で俺の手を握り締める

つないだ手から伝わる温もりと適度な車の揺れが心地いい

「タカ……、おれ寝てもい？」

「いいよ、着いたら起こしてあげるから」

「ん、ありが……」

ありがとう

大好き

そう言いたかったのに

伝える前に俺は眠りに落ちた

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