お日様みたいな人２【ＴＨ】完 (ページ9)

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ライオンのぬいぐるみが売れてから数日経つのに
未だに受け取りに来ないお客様を今日もレジで待っていた

「本当に欲しかったのかな・・。」

取りに来たらすぐ渡せるようにレジのすぐ傍に置いてある箱を見つめながら呟く

店長の話では良い人そうだったけど、受け取りに来ないって事はそんなに欲しかった訳じゃないんじゃないか・・そう思えてきた

ふと自分のポケットに触れ、携帯と一緒に中に入ってた物を出す

「ハンカチ、返したいけど顔すら覚えてないしなー・・。」

泣きながら帰ったあの日ぶつかった人が渡してくれた薄い水色のシンプルなハンカチ

今思えば顔を真っ赤に染める程恥ずかしい

「ぶつかった挙句泣いてる所見られたっ、私結構やばい奴だよね・・」

店内に一人というのが当たり前になってくると独り言は増え
それにすら気付かなくなっていく

ハンカチを握り締め、恥ずかしさに悶絶していると

カランカラン

と店のドアが開く音が聞こえた

「っいらっしゃいませ～！」

悶絶していたのを悟られないように精一杯冷静にかつ接客スマイルを頑張って
入り口の方へ視線を向けると男の人が居た

「・・・。」

入り口で固まっているお客様は帽子にマスクをしていて顔は分からない

「何かお探しでしょうか？」

「・・・。」

無言で固まって微動だにしないお客様を尻目に在庫票を取り出し確認している風にしながら少し不安になる

(もしかして悶絶してる所見られてた・・！？)

そんな事を考えつつチラッとお客様を見ると、携帯を取り出しいじっていた