看病2 ページ11
その状態を保ったままAさんの暑い首に自分の指をそっと這わせた
私の右手にAさんは驚く様子もなく、目を閉じたまま冷たい温度に身を委ねている
…少しAさんの表情が穏やかになった、良かった
─
ずっとあの体制で身体が疲れたので、ベットに座って、伸ばした太腿にAさんの頭を乗せて、そのまま右手をそっと首に置く体制を取った
体調の悪さで募る不安が紛れるからなのか、Aさんは私の腰に腕を回して弱々しく抱きついている
そう簡単に熱は下がらないだろうと思い、ジャンヌさんが言っていた"りょうかたおもい"を調べてみたのだが
私の名前を呼ぶ声が聞こえる
声のする方に目を向けると、体温が下がって意識が少しハッキリし始めたAさんが顔を上げていた
「楽になりましたか？でも、まだ安静にしててくださいね」
起き上がりたがるAさんの頭を太股の上に戻して、体温計のカバーを外す
「体温計りますね、失礼します」
体温計の銀色の部分をAさんの脇に当てて、計り終えるまで少し待つ
「…ねぇ、Aさん
Aさんは…私の事が好きですか？」
──ピピピッ
計測終了の音がなったので、体温計を抜き取って温度を確認する
「7.9…下がりはしましたね」
下がってはいるが、また体温が上がっているだろう
だってこんなにも、Aさんの心臓の動きが太腿を伝って全身に駆け巡っているのだから
「A、ね、教えてください、貴方が私の事を好きなのかそうでないのかを」
ジャンヌさんの言っていた言葉の意味が分かったんですが、もしそれが本当だとしたら、Aさんは私の事が好きになるのだ
右手で温度計の銀色の部分に触れて計る前よりも若干冷たく下げたら、Aさんの脇に当ててまた体温を計る
「急に聞かれても困りますよね…そうだ
もし好きなら、服でも何処でもいいので私のどこかを握ってください、弱くても強くても構いません」
熱くて溶けそうなAさんの手を、自分の服の裾まで持っていく
鳴り響く測定完了の音
果たしてAさんの答えはどうなのか
「アダムさん、Aさんの様子はどうですか？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 75人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
リオ(プロフ) - のっきさん» アダム｢是非お楽しみくださいませ｣ (2019年4月16日 16時) (
レス) id: 967c811918 (このIDを非表示/違反報告)
のっき - 新シリーズ…！めちゃくちゃ面白いです！！ (2019年4月14日 18時) (レス) id: c9f0456c30 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：リオ | 作成日時：2019年4月8日 4時
