１６話 相棒 ページ17
その視線の人物、そいつこそが私とエース、この船の敵となる男。
マーシャル・Ｄ・ティーチ。
私が振り返れば、彼は待っていたかのように私を見るのだ。
「…何か用事？ティーチさん。」
「お前には話しておきたくてなぁ…。」
「話？なんのですか。」
彼は怪しく笑う。
「おめぇ、知っているか？」
「何を？」
「…ヤミヤミの実を。」
…あの黒い能力か。
「一応断片的には。でも、それがどうしたの？」
「おめぇ、どこにあるかしっているか？」
「…そうですね。確か…誰かが持っていましたよ。名前は知りませんけれど。」
私は適当に言った。もちろん、彼は残念そうにして、私を見つめる。
「そうかぁ。」
「ティーチさんは、その悪魔の実を狙っているんですか？」
「もちろんさ。おれが長年求めていた能力だ。」
「そうですか。私はもう食べているので、興味はないですけれど。」
私の言葉を聞いた彼は私を見つめる。
「なぁ、取引しねぇか？」
「？…取引？？」
私が首をかしげる。
「ああ、そうさ。おれは悪魔の実を手に入れたい。だが、その情報はお前が持っている。おれは、その情報が欲しい。未来を視ることができるなら、その能力でもいい。」
「…何か報酬があるのであれば、良いですよ。ただ、私の未来を視る力は、本当に断片的ですし、もしかすれば未来が変わる恐れもある。」
「構わねぇさ。だから、情報をくれ。」
「……わかりましたよ。エースのこと、世話させてもらっていますし、良いですよ。ただ、私の情報は高いですよ？」
私はそう言って、彼に左手を出した。
彼は笑ってそれを受け入れた。
「そのぐらい、かわいいもんだぜ。なぁ、”相棒”。」
「よろしく、”相棒”。」
ティーチと私は互いに手を組んだ。
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作者名：リンリン | 作成日時：2021年2月9日 20時
