弓織る彼女〈ワンピース〉 (ページ16)

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１５話ページ16

エースのセレクションで、海賊の歌を弾いた。

だが、私はこの歌を弾くと悲しくなる。

なんたって、この歌にはある意味があるから。でもそれを言ってはいけない…。師匠とそういう約束をしたのだ。

「トリアン？」

エースに声を掛けられた。

「なにか？」

「…いや、その、なんで…そんな悲しそうなんだって、思って。」

……。

「この歌は、苦戦した曲ですから。少し幼いころを思い出して。」

彼はそれを聞き、深くは聞いてこなかった。

エースとの話し合いも、演奏も終わって、私は満天の星空を見上げる。

まだ、この景色に見慣れないが、それでもエースがなんとなくでもこの場所でうまくやっていることが救いだ。

一口、酒を飲んで、私はもう一度眠りにつこうかと考えたが、やめた。

何者かの視線を感じ、私はその眠気を隠して腰を持ち上げた。