弓織る彼女〈ワンピース〉 (ページ15)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:9,292 hit

１４話ページ15

「ありがとうございました。」

私の言葉で、相対していた彼らと礼を交わした。

楽器の演奏をしていた中には、ビスタ隊長もいた。どうやら、彼はピアノを演奏するらしい。

「しかし、君にはこんな才能があったのか。」

ビスタに言われる。

「才能なんて、この世にありませんよ。練習以外で、かなう者はいませんし。ビスタさんこそ、良い音色です。私の耳に間違いがなければ、あなたの演奏は一流のピアノ演奏家になれますよ。」

「フフフ、饒舌じゃないかトリアン。」

ビスタに言われながら、私はもう一曲と弦を構え、彼らは聞き、私は演奏した。

「トリアンは、演奏家なんて、信じていなかったが、これほどとは。」

イゾウに言われる。もちろん隠しているつもりはないが、私は大々的にしていなかっただけであって、できていただけだ。

「イゾウさんは、何かできるのですか？」

「んー。舞と小堤、琴ぐらいだな。君が持っている楽器は弾けないよ。」

「なるほど、ワノ国の出身でしたか。」

「なんだ、わかるのかい？ワノ国の楽器が。」

イゾウに聞かれ、私はうなずく。「私の師匠が琴を持っていましたので、私もできますよ。ただ、さすがに琴を持ってはいませんのでどうしようにも…。」

弾きたいなぁと、思っていてもその時間はない。だからこそ、悔しいと思う一面もあるのだ。

「確かにな…弾きたいときに弾けたらいいのに。」

イゾウもそう言って、琴のことを思う。