歪*99 ページ19
卒業式を終えた翌日、あたしは家族の見送りを断って、
モカとふたり、あの事故現場へとやってきていた。
「いいの?家族の見送りを断るなんて」
「うん。まさか言えないもん」
苦笑を浮かべるあたしに、モカは「それもそうか」と肩を竦める。
泣きたくないからと、半ば強引にお見送りを断り、
キャリーケースを引いて事故現場に立つ。
何度も夢に見た、少しやつれた赤司さん。
彼は今どうしているのか、心配で仕方がない。
「……連絡取れないのが唯一の不満だけど、Aが幸せならいい。
だから、絶対幸せになって、赤司様に添い遂げなさい」
「うん。絶対」
「あーでも羨ましい。
高尾ちゃんに一度は会ってみたい……!!」
願いを隠すことなく口に出し、むむむッと眉間に皴を寄せるモカだけれど、
その頭の中は彼氏、和成くんのことでいっぱいなのはみてわかる。
「……ていうか、どうしたら行けるの?」
「さっきから何も起こらないけど」と唇を尖らせるモカの言う通り、
先程からここに立っていても何も起こらない。
本当に行けるのか不安になったその時、「ちょ、A!?」と彼女の焦る顔と声。
同時に意識が朦朧としてきて、最後に覚えているのは、
モカの「っ……ばいばい、幸せにね!」という涙の滲む声だった。
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小崎相良(プロフ) - こんばんは。とても楽しくて、一気に読んでしまいました。とても素敵な作品で、読み終えて少し寂しくなりました(´・ω・`)赤司君サイドのお話が面白くて、家族の前で吹き出しちゃいました(笑)素敵な作品をありがとうございます。 (2019年2月11日 21時) (レス) id: 4835e70326 (このIDを非表示/違反報告)
凛和(プロフ) - あかりんさん» こんにちは、納得がいかずに書き直してしまいました…ですがそう言っていただけて安心です^^ これからもよろしくお願いします! (2017年12月17日 13時) (レス) id: d63d138122 (このIDを非表示/違反報告)
凛和(プロフ) - AUSさん» こんにちは。そうって頂けてとても嬉しく思います!新作、と言うわけではないのですが、もう一作練り直しながら再更新よろしければお願いします! (2017年12月17日 13時) (レス) id: d63d138122 (このIDを非表示/違反報告)
あかりん(プロフ) - こんばんは!前回の作品も密かに読ませてもらっていた者です♪お気に入りに登録していたので、更新通知がまた来た時はびっくりしました(笑)今回の作品もとっても良くて感動的でした(;_;)終わってしまったのが寂しい…!お疲れ様でした(^-^) (2017年12月14日 0時) (レス) id: 95ac557a92 (このIDを非表示/違反報告)
AUS(プロフ) - ああ終わったのがすごい寂しい(..)本当にこの作品大好きで読み返しも結構しました!!大好きです!!もし新作を作るのであればそちらも楽しみにしています!!!!お疲れ様でした!!...本当にこの作品大好きです!!!! (2017年12月12日 20時) (レス) id: a37795c062 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凛和 | 作成日時:2017年5月31日 23時