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歪*96 ページ16

肌を刺すような寒さにも慣れてきた、冬のある日。
あたしは"赤司征十郎"のストラップがぶら下がったスクールバッグを肩にかけ、
教室で和成くんとじゃれているであろう親友、モカの元へと急いでいた。



「モカ!」

「っ……どした、そんなに急いで」


モカを視界に入れた途端、叫ぶように名前を呼んだあたしは、教室中の視線を集めた。
けれどそんなことを気にしないままモカの元へ向かう。

和成くんがモカの元を離れ、モカは立ち上がって、
あたしの手を掴むと教室を出て朝は人通りの少ない、屋上へ続く階段のほうへと向かう。



屋上への扉は鍵がかかっていて入れないけれど、
その一歩手前、階段の踊り場までは解放されていて、
お昼休みには、素行に問題のある生徒がよく集まっている。

けれど朝はそんなこともなく、どちらかと言えば静かで、話すにはうってつけの場所だ。



「……なにかあった?」

朝の挨拶もそこそこに、さっそく本題へと入るモカ。
その顔つきは真剣そのもので、あたしの話す内容をある程度は予想していそう。



「夢を、見たの……」

「赤司様の?」


黙って頷いたあたしを戸惑うように見つめるモカは、信じてくれてはいるのだろう。


「……赤司さん、震えてた」


唇を噛み締めて、夢に出てきた光景に胸を痛める。


「ひとりで、震えて、名前を呼んでいたの」

「名前……?」

「あたしの……。
 A、Aって、何度も言ってた」


現実的に考えてあり得ないことだけれど、あたしはトリップをして、彼と関わりを持った。
それならば、こうして夢に出てきて、向こうの世界を垣間見ても不思議ではないかもしれない。


「またご飯も食べてないみたいで、部屋も荒れて……」

夢に出てきた彼は、本当に、生ける屍みたいな感じだった。
あたしが彼の部屋へ初めて行ったとき、確かに洗濯物は溜まっていたけれど、
それでも綺麗な状態ではあったし、ご飯だってある程度は食べていた。

けれど夢に現れた彼は、なんだか痩せていたし、部屋は本当に荒れていた。
あれが今の実態かどうかはわからないけれど、夢に出た以上、心配で仕方がない。




「あたし、やっぱり赤司さんと一緒にいたい」

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設定タグ:赤司征十郎 , 黒子のバスケ , トリップ   
作品ジャンル:アニメ
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小崎相良(プロフ) - こんばんは。とても楽しくて、一気に読んでしまいました。とても素敵な作品で、読み終えて少し寂しくなりました(´・ω・`)赤司君サイドのお話が面白くて、家族の前で吹き出しちゃいました(笑)素敵な作品をありがとうございます。 (2019年2月11日 21時) (レス) id: 4835e70326 (このIDを非表示/違反報告)
凛和(プロフ) - あかりんさん» こんにちは、納得がいかずに書き直してしまいました…ですがそう言っていただけて安心です^^ これからもよろしくお願いします! (2017年12月17日 13時) (レス) id: d63d138122 (このIDを非表示/違反報告)
凛和(プロフ) - AUSさん» こんにちは。そうって頂けてとても嬉しく思います!新作、と言うわけではないのですが、もう一作練り直しながら再更新よろしければお願いします! (2017年12月17日 13時) (レス) id: d63d138122 (このIDを非表示/違反報告)
あかりん(プロフ) - こんばんは!前回の作品も密かに読ませてもらっていた者です♪お気に入りに登録していたので、更新通知がまた来た時はびっくりしました(笑)今回の作品もとっても良くて感動的でした(;_;)終わってしまったのが寂しい…!お疲れ様でした(^-^) (2017年12月14日 0時) (レス) id: 95ac557a92 (このIDを非表示/違反報告)
AUS(プロフ) - ああ終わったのがすごい寂しい(..)本当にこの作品大好きで読み返しも結構しました!!大好きです!!もし新作を作るのであればそちらも楽しみにしています!!!!お疲れ様でした!!...本当にこの作品大好きです!!!! (2017年12月12日 20時) (レス) id: a37795c062 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:凛和 | 作成日時:2017年5月31日 23時

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