ただいま。 (ページ5)

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ー猫田sideー

また記憶に残る夢を見てるのかと思った。

こんなどうせ消えてしまう辛い夢から早く目覚めなければと思い、

自分肘をつねる。

…痛い。

これは夢ではない。

そう確信した。

目の前には

ソファーに座るあの人の背中が見える。

「猫ちゃん。」

あの人の私を呼ぶ声が仮眠室に響く。

「と、かい…せ、ん…、せ？」

一人で留守番していても平気な猫
でいるつもりだったが

思わずソファーへ近付いてしまった。

そして、“その人”の肩に優しく触れていた。

その人は自分の肩に置かれた私の手に
優しく手を重ね

「元気にしてた？」
なんて聞いてきた。

「…はい。」

「俺のこと忘れてない？」

「忘れる、
訳…ないじゃないですか。」

と私はその場にしゃがみこみ泣き崩れた。

その人、

渡海先生

は私の隣にしゃがみこんで

「寂しかった？」

私は泣きじゃくりながら頷く

「ずっと待ってたんだな。」

私はまた頷く。

「ただいま。」

響く。低くてよく通る声が。

あぁ、やっぱり落ち着くな…

おかえりなさい。