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数年前のことはなぜかぼやぼやっとしか覚えてない。
寂しいという思いと共に、いつの間にか芸能界の入り口に立ってた。
歌が好きで、自然と踊りも覚え。
そしてオッパ達がいた。
こうやって一緒に暮らして、一緒に学校に行ったり遊んだり。
よくナムオッパが "俺達は家族だよ" と言ってくれる言葉は間違ってなんかないと思う。
でも幼い頃から一緒にいたわけでもなくて、随分前の記憶は薄っすら。
家族というものはいたはずなの。
お母さんの顔はよく覚えていて、少しだけ過ごした思い出も頭の中にはある。
でもなんて言うのだろう。
水の中でそれを見てるような...
本当にぼやけてる。
そして水の中から出たかのように、オッパ達との思い出だけが鮮明に見える。
出会いはなんだかわからないけど。
何度か尋ねたこともある。
私って昔どんな子だった？
どうやってここに来たの？
生まれは？
そんな質問をオッパ達にもPDにも。
でもちゃんと答えは返ってくるけど、どれもしっくりこないものばかりだった。
お母さんは交通事故で亡くなって、PDの繋がりで引き取られた。
たったそれだけの情報。
嘘なのか本当なのかわからないけど、昔のことをはっきりと覚えてないのは異常だ。
何かあるんだろうなって思いながら、ずっと気にしないふりをオッパ達の前でしながら暮らしてきた。
きっとこれからもそれは変わらない。
今が十分幸せで、過去のことは知る必要が無いのかもしれないから。
きっと、ね。
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作者名：莉奈 | 作成日時：2019年8月5日 15時
