天使の悪戯(7/17更新) ページ9
「あれ？このお酒、もしかして近くの酒屋で買った？」
「あ！そうなんです」
「やっぱり、あそこ俺もたまに行くんだけど、店主のおじいさん面白いよね」
「はい、とてもよくしてくれました」
「今度久々に行ってこよー」
2人分にしては少し多いかな？くらいに作ったお鍋もあらかた食べ終え、ほろ酔いの松本さんは風林酒場のおじいさんの話を楽しそうにしている。
昨日のことについては全く触れず、むしろ私が思い出さないようにしてくれているみたい。
でもね。
いくら記憶が無いとはいえ、流石にこのままって訳にはいかないでしょう…？
「あの……松本さん」
「ん？どした？」
「昨日は、ご迷惑をおかけして本当にすみませんでした！！」
ダイニングテーブルにおでこを打つ勢い。
もう打ったっていい！くらいの気持ちでごめんなさい、と頭を下げた。
「いやいやいや、顔あげてよ」
「ほんっっっとに、申し訳ありません！社会人として、気を抜きすぎました」
もう顔あげな！って頭をグイッと掴まれた。
「まー、心配はしたけど」
「すみません……」
「もうベロンベロンなのに、大野さんに『私まだ飲めます！』って言い張ってた」
「……」
「タクシー呼んで帰ろうとしてたら、『まだ帰りたくない！』って正人に絡んでたの覚えてる？」
「う……」
やばいやばい。
私ってば酔っ払うとめんどくさい絡みを連発する女だったのか！
今までお酒で潰れることなんてなかったから、知らなかった。
「あ、あとタクシーで『きもちわる…水…』ってもうマーライオン寸前でさ、大変だった」
「そ、そんな……！」
もう正面にいる松本さんの顔が見れません。
朝倉A、終了のお知らせ。なんも覚えてないけど。
「マンション着いたら『化粧落とす！』って俺の家入ろうとするしさ〜」
「そんなことまで……」
うう。目眩がする。
自分ってばどれだけメチャクチャな人間なんだ……27年生きてきて、まさかこんな面があったとは。
「あの……ほんとご迷惑を…」
「ま、ウソだけどね」
「………へっ？！」
ウケケ、と悪戯っ子のように笑う松本さん。
「う、うそ……？」
それってどこからどこまでですかー！って聞いても、「ナイショ」とか言ってまたクスクス笑っている。
松本さん。
さてはあなた、天使のような顔してますけどかなりの悪戯っ子ですね…？
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作者名：rio | 作成日時：2021年7月1日 2時
