木槿のふたり (ページ4)

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コンシェルジュの青木さんページ4

おそるおそる、3人でマンションに入った。

「なんかさ…場違い感凄くね…？」
「うわあ…コンシェルジュの人までいるよ…」
自然と小さくなる3人の声。

ウィルの叔父さんから預かった鍵でエントランスを抜け、コンシェルジュのいるカウンターを通り過ぎようとした時。

「あの…」
「はっ！はい！」
いきなり話しかけられてびっくりした。
あ、もしかして挙動不審すぎて不審者かと思われたかも。

「あ、あの私今日から…」
「朝倉様、でございますね？お待ちしておりました。コンシェルジュの青木です。」

穏やかに微笑む青木さん。
お荷物お持ちします、こちらへどうぞ、なんてまるで執事のような無駄のない動きで、案内された。
白髪頭をきっちりまとめて、スーツをビシッと着こなしている。

「こちらのお部屋になります。」
「ありがとうございます。」
「分からないことや必要なものなどありましたら、遠慮なくお申し出下さい。では。」

そう言うと、綺麗なお辞儀をひとつして、颯爽と帰っていった。

ドラマみたい…。
どこか夢心地で、家に入る。

「A…知り合いって一体なんの仕事してる人なの…」
「これは俺も想像以上だわ…」

一足先に家に入っていた先輩と菜々は、リビングで固まっていた。

「なにこれ…！！」

開放的なキッチンに大きな冷蔵庫。
一枚板でできたダイニングテーブル。
超巨大なテレビと、大人8人は座れそうなソファ。

そしてなにより。

「なにこの景色…！！」

壁2面が大きな窓で、そこから見えるのは東京のキラキラした夜景。

いや本当、どうなっちゃってるの。
あまりの凄さに3人とも言葉を失う。

「あ、なんかメッセージカードあるよ」
先輩がダイニングテーブルの上にあった花束(もはやこれに驚けない!)からカードをみつけた。

＊
Dear A

おかえり！
無事に着いたかな？

ここは君の家だ。
好きなようにカスタマイズして暮らしていいからね。
ベッドは新しくしてあるし、日用品は一通り揃えておいたから安心して。

近いうちに叔父さんも遊びに行けると良いんだけどね…

日本でのニューライフ、楽しんで！！

From ウィルの叔父さん
＊

「叔父さんってやっぱり只者じゃない…」
「すごいよ、Aのためにベッドまで新調してくれたなんて！」
「俺には一生かかっても住めないわ…」

謎にちょっと落ち込んでいる先輩は置いておいて、私たちはコンビニごはんを食べることにした。