木槿のふたり (ページ25)

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悪戯好きな松本さんページ25

「A…？どうした、大丈夫？」
水もらおうか？と心配そうにこちらを見つめる松本さん。

「あれ、ボーッとしてました？すみません！」
いけない、いけない。
ついつい昔のことを思い出してしまった。

「そろそろ帰るか～！」
俺明日朝イチで病院行かなきゃ、って先輩が立ち上がる。

「言い出しっぺなのに早えな」
「ま、これが妻子持ちの幸せだな」
「うわ～ッ、お前ムカつく！まあでもここは父親頑張れ、ってことで！」

松本さんがそう言っていつの間にか奢ってくれていた。どこまでもスマートな人だ。

お店の人にタクシーをお願いすることになり、松本さんが「2台で」とお願いする。

「ん？俺と潤が相乗り？」
「ちげーよ、Aと俺、お前は愛の巣に1人寂しく帰れ！」
「はっ？なに、え、どういうこと」

先輩が本気で戸惑っている。そりゃそうだ。
本当のことを…

「あ、ほら、タクシー来たって。じゃ、またな！」
「は？ちょ、おい！」
松本さんに強引に押し込められた先輩は、タクシーに連れ去られていった。

「よし、俺らも帰ろっか。」
イヒヒって悪戯好きの子供みたいに、笑っている。

「先輩絶対誤解してますよー、松本さん結構いたずら好きですね」
「え？Aも共犯でしょ？」
悪い顔して笑う松本さんは、失礼かもしれないけれど少年のよう。

"ブーッブーッブーッ"

松本さんがなにやらLINEをみてアハ、と笑っているので、「どうしたんですか？」と聞いたら、「なんでもな～い」とはぐらかされた。