凛と、また、凛々と【S×Ｎ】 3 (ページ14)

今日:11 hit、昨日:2 hit、合計:136,365 hit

74 ページ14

俺は、マツオカさんを知っている。

他の黒スーツもみんな、知っている。

そしてみんなも、もちろんマツオカさんも、俺を知っている。

翔さんのことも知っている。

『警護』『監視』の対象としてでなく、ありのままの櫻井翔を、知っている。

「総監がお前を呼んだ。翔のことだろう。…総監には直接、翔が釘を刺したんだがな。やはり総監のやることだ。

どんな手段を取るかわからない。翔も心配していた。

…まぁ避けては通れない道だとはお前たちもわかっていただろうが…」

「ふっ、ありがとう、マツオカさん。俺は平気だから心配しないで？
翔さんのことも、ちゃんと俺が守ります。」

安心したように、それでもまだ心配そうに、マツオカさんは微笑んだ。

厳ついけど、優しくて。

マツオカさんを始め、黒スーツのみんなは

優しい。

総監直属の部下で、総監の指示で翔さんを『監視』、し続けているけれど

みんなは翔さんの味方だ。

総監への報告も総監からの嫌な指示も

翔さんにとって都合の悪い方へ事が動かないように。

いつもいつも細工や工夫をしてくれていた。

「さぁ。何を言われるか分からないぞ、覚悟しろ。」

部屋の前で一旦立ち止まり、目を閉じる。

マツオカさんの言葉に気を引き締め、扉の向こうにいるであろう総監を頭に浮かべた。