夢を元にした日本人がホグワーツで愉快に過ごす話～賢者の石篇～ (ページ24)

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1年は静かに終わる-2 ページ24

そして最後にダンブルドア先生は、スリザリンにはトドメとなる言葉を発した。

「勇気にも色々ある。敵に立ち向かっていくのにも大いなる勇気がいる。しかし、味方の友人に立ち向かっていくのにも同じくらい勇気が必要じゃ。そこで、わしはネビル・ロングボトム君に十点を与えたい」

グリフィンドール、逆転。
狂喜乱舞するグリフィンドールの喝采にハッフルパフとレイブンクローも加わり、大騒ぎという一言では表し切れないような大騒ぎとなった。

「したがって、飾りつけをちょいと変えねばならんのう」

ダンブルドア先生が手を叩くと、会場は一気にグリフィンドールカラーへ変わる。
ますます盛り上がる自寮のテーブルで、巻き込まれてグチャグチャにされないように端のほうへ移動して、彼女は皆を見つめた。

「…まあ、最近の中では、悪くない1年だったかもね」

ホグワーツの外では、満点の星空が広がっていた。

そして、待ちに待った帰省の日。

「やあ、トコハ」

相変わらず1人でホグワーツ特急に乗り込んだ彼女は、ドラコに声をかけられた。

「お、ドラコじゃん」
「今日も今日とて1人かい？君は余程友達がいないんだね」
「そういえば、友達と躊躇無く呼べる程仲良くなったのは、ドラコとハーマイオニーだけだな」

嫌味を綺麗にスルーしていくA。てか友達が少ない。1年過ごしてたった2人は、さすがに少ない。

「君と過ごすのは、なかなか楽しかった。新学期もよろしく頼むよ」

僅かな優しさを発揮してそこには突っ込まないでおいたドラコは、笑顔で挨拶をするに留める。

「うん、わたしも楽しかった。こちらこそよろしくね」

その優しさに果たして気付いたのかどうか、Aも微笑んで挨拶を返し、会話は終わった。

ホグワーツ特急が、キングス・クロス駅に到着した。

「トコハ！」

降りたAの耳に飛び込む、ハーマイオニーの声。

「新学期も仲良くしてね！」
「わたしこそ、仲良くして欲しいな」

2人の少女は、満面の笑みでハグを交わし、別れた。

飛行機に乗って数時間。
日本の空港で待つ男女2人が見える。両親だ。
彼らを見つけ、Aは走り出す。近付く両親の胸元に、彼女は笑顔で飛び込んだ。

「パパ、ママ、ただいま！」

こうして、長くて短い1年が終わった。
しかし彼女の青春は、始まったばかり。

旅路のスタート地点に立ったに過ぎないということを、今はまだ、誰も知らないのであったーーーーー

～賢者の石篇完～