夢を元にした日本人がホグワーツで愉快に過ごす話～賢者の石篇～ (ページ23)

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1年は静かに終わる-1 ページ23

Aがダラダラと日々を享受していた数日間が過ぎ、学年末パーティーの日になった。

スリザリンカラーの大広間に、彼女は今日も、いつも通り何の感慨も持たず入る。

「(ここに入学して、もう1年が経ったのか。早かったな…)」

スリザリンの横断幕をボーッと眺めつつ、1年を振り返る。月日が経つのは早いものだ。
突然入学許可証が送られて大慌てした日から、もうそんなに経っているとは。

「(わたしも少しは、成長できているだろうか………？)」
「また一年が過ぎた！」

1人、自分自身に思いを馳せるAを現実に引き戻したのは、ダンブルドア先生の声。

「一同、ご馳走に齧り付く前に、老いぼれの戯言をお聞き願おう。何という一年だっただろう。君たちの頭も以前に比べて少し何かが詰まっていればいいのじゃが……新学年を迎える前に、君たちの頭が綺麗さっぱり空っぽになる夏休みがやって来る」

夏休み。Aにとっては、また両親に会える、楽しみな休暇である。

「それでは、ここで寮対抗杯の表彰を行うことになっとる。点数は次のとおりじゃ。4位、グリフィンドール312点。3位、ハッフルパフ352点。レイブンクローは426点。そしてスリザリン、472点」

大喜びするスリザリンテーブルの皆の声が響き渡る。ドラコなど、余程うれしいのか、ゴブレットでテーブルを叩いている。

「よし、よし、スリザリン。よくやった。しかし、つい最近の出来事も勘定に入れなくてはなるまいて」

瞬間、スリザリンが静かになった。極端な反応に、Aは危うく笑いそうになるのを必死で堪えた。

「駆け込みの点数をいくつか与えよう。えーと、そうそう……まず最初は、ロナルド・ウィーズリー君。この何年間か、ホグワーツで見ることが出来なかったような、最高のチェス・ゲームを見せてくれたことを称え、グリフィンドールに五十点を与える」

今度は、グリフィンドールのテーブルが歓声に沸く番だった。

「次に……ハーマイオニー・グレンジャー嬢に……火に囲まれながら、冷静な論理を用いて対処したことを称え、グリフィンドールに五十点を与える」

スリザリンの生徒たちが顔色を失うのが見える。

「三番目はハリー・ポッター君……その完璧な精神力と、並外れた勇気を称え、グリフィンドールに六十点を与える」

ついに同点まで上り詰めたグリフィンドールはお祭り騒ぎ。対照的に、同点にされたスリザリンテーブルでは、何やら悲鳴すら聞こえる。