夢を元にした日本人がホグワーツで愉快に過ごす話～賢者の石篇～ (ページ22)

今日:2 hit、昨日:7 hit、合計:31,756 hit

試験やら何やら-2 ページ22

数日後、本を借りようと図書館に行くと、ハリー・ロン・ハーマイオニー、さらにはハグリッドの声が聞こえた。
面白そうな本は無いかと探しながら何となく会話を聞くところでは、どうやらニコラス・フラメルや賢者の石に関して話している様子。
興味が無いAは、一切を聞かなかったことにして、本探しに没頭した。

さらに数日後、グリフィンドールに150点、スリザリンに20点の減点が執行されていた。掲示の前は騒がしい。

「ハーマイオニー」
「っ！トコハ………？」

群衆より多少離れた位置で妙に落ち込んでいるハーマイオニーを発見し、肩を叩く。驚いて振り返った彼女の泣きそうな顔を見て、Aは察した。

「あの減点に、関わったんだね？」
「どうしましょうトコハ、わたし、わたし…！」
「大丈夫だよ。人生は、1度の些細な失敗で台無しになる訳じゃない。これから先、きっと挽回するチャンスが来る。そのときにがんばれば良いんじゃないかな」

憔悴し切ったハーマイオニーをそっと抱きしめ、慰める。如何に無関心無頓着なAと言えど、目の前で悲しむ人間を放置する程の冷血漢ではない。
友の心が落ち着くまで、彼女はただひたすら黙って、ずっと側にいるのであった。

この減点騒ぎの大体1週間と数日後。学期末試験がスタートした。
筆記試験は、日頃の勉強のおかげか、たぶん問題無くクリアした。
実技はまあ、減点はされなかったはず、と信じている。

総合すれば上々の出来だった、と自分を褒めつつ、無事に試験を終えて一息吐いたAは中庭にいた。

「(良い天気だな………)」

青い空に白い雲、通り過ぎる爽やかな風。絵に描いたような良い天気だ。
彼女は脳をストップさせて、ボーッと空を見つめる。

試験が終わって再度動き出したハリーたちのことなど露知らず、知っていたとしても興味なく、彼女は平和を享受した。

夏休みが、近い。