夢を元にした日本人がホグワーツで愉快に過ごす話～賢者の石篇～ (ページ21)

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試験やら何やら-1 ページ21

休暇明けのAをまず待っていたのは、クリスマスプレゼントだった。
ハーマイオニーからは本を、ドラコからはお菓子をもらい、彼女はうれしそうにお礼を述べた。お返しにミサンガを渡したらすごく喜んでもらえたので、ますますうれしかった。

良いことはさらに続いた。

「メリークリスマス、ミス・カザマ」

校長室に呼ばれたと思えば、何とダンブルドア先生の手の上には、1つのプレゼント箱。

「わたし何も用意してないのにもらえないです！」
「そんなものは気にしなくて良い。さあ、受け取っておくれ」
「あ、ありがとうございます………」

恐る恐る受け取りながら、Aは決意した。来年は絶対、この人にもプレゼントを用意しよう…と。

「あの、開けてみても？」
「もちろん」

お伺いを立ててから箱を開封。すると、中から出て来たのは、1冊の本。

「天球図譜…」

イギリスの、ジョン・フラムスティードという王室天文官の観測結果に基づいて制作され、彼の死後に出版された星図。星図とは、天球上での恒星・星団・星雲など星座の位置や光度と名称を平面で表した図で、簡単に言えば空の地図的なもの。
つまり、天体が大好きで深く勉強したいAにとっては、寝食を惜しんで読み耽りたい程に興味を惹かれる本なのである。

「君は天文学が得意らしいとシニストラ先生に聞いて、選んでみた。どうかな？」

シニストラ先生というのは、天文学の担当の先生だ。日々の課題の成績が良かった自覚はあるため、良い意味で注目されていたのかもしれない。

「ありがとうございます、ダンブルドア先生。すごく、すごくうれしいです」
「それは良かった」

彼女は年相応の笑みを浮かべ、再度お礼を述べた。ダンブルドア先生も、優しく微笑み返す。
学校内で初めて彼女が見せた、子供らしい笑顔。それは、Aが少しずつ心を開き始めている、小さくも確かな証拠だった。