夢を元にした日本人がホグワーツで愉快に過ごす話～賢者の石篇～ (ページ14)

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お友達ゲットだぜページ14

ここは図書館の片隅。

「ヴィンガーディアム・レビオーサ？」
「違う、ウィンガーディアム・レビオーサ」
「ウィンガーディアム・レビオゥサー………？」
「だから違う！」

声の主は男女2人。Aとドラコである。彼らは約束通り、ドラコを先生役として、他の課題も進めつつAの苦手な科目をお勉強していた。

「発音難しいぃぃぃ」
「難しいなら練習あるのみ。やっていればできるようになる」

Aが特に苦手としているのは、発音が関係する「呪文学」だった。今はどうやら、その発音を練習しているところらしい。

「ウィンガーディアム・レヴィオーサ」
「惜しい、ウィンガーディアム・レビオーサ」
「ウィンガーディアム・レビオーサ」
「そう、それだ！」

口の筋肉が痛くなる程の何度目かの練習の末、彼女はやっと「浮遊呪文」の発音を成功させた。

「マルフォイ君ありがとう！これでわたしの問題が1つ解決した」
「……………勉強は得意そうだしまさかとは思ってたけど、君にもこんなに手こずるものがあるんだな」
「わたしを一体どういう奴として認識してたのさ」
「あのスネイプ先生をやり込めた人間として、良くも悪くも印象には残ってたね」
「その出来事はわたしの黒歴史です」

彼女に関して、そこそこ優秀、としてドラコの記憶には残っていた模様。故にこそ彼にとっては、誰かに教えを乞うAは、意外なのかもしれない。

「で、再度聞いても良いかい？」
「何を？」
「僕に先生役を頼んだ理由」
「優秀だから」

彼は改めて、真意の確認も含め同じ質問を彼女にぶつける。しかしAの答えは変わらない。だって彼女は、寮の関係を気にしない。今までも、今後もずっと。

「…ドラコで良い」
「へ？」
「呼び方、ドラコで良い。僕の友達になってくれるなら、この先も半永久的に助けてやるよ」
「………本当に！？」
「本当だとも」

ドラコは何となく、感覚的に、Aを気に入った。そこで上から目線(デフォルト)な提案を持ちかけてみる。するとAは、彼の見下し目線も一切スルーして、「半永久的に助けてやる」の部分に目を輝かせた。

「じゃあよろしくね、ドラコ！」
「…………………あ、うん、よろしく」

そして何の遠慮も無く名前を呼んで満面の笑みを浮かべる彼女に、面食らったのはドラコのほうだ。彼は何秒かの間を空けて、そう返すのが精一杯だった。

かくしてAは友達をゲットし、彼らのお勉強はまだまだ続くのである。