夢を元にした日本人がホグワーツで愉快に過ごす話～賢者の石篇～ (ページ12)

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授業じゃ授業じゃ-7（飛行訓練）ページ12

皆が箒を手にすると、乗り方の指導。
さらに飛び方に移った。

「さぁ、私が笛を吹いたら、地面を強く蹴ってください。箒はぐらつかないように押さえ、2メートルぐらい上昇して、それから少し前かがみになってすぐに降りてきてください。笛を吹いたらですよ。一、二の――」
「ネビル！」

フーチ先生の声を遮ったのはハーマイオニー。その見上げる空の先には、箒をコントロールできず飛び立ってしまったネビルの姿があった。
彼は高く高く飛ぶと、最終的に真っ逆さまに落ちて、手首を骨折した。

「あーあ、手首が折れている」

それでも、上空から受身も取れずに落ちて手首骨折なら、まだ運が良いほうかもしれない。

「全員、ここで待っていなさい。ただし箒には触れない事。もし、箒に指一本でも触れた場合は、クィディッチの『ク』の字を言う前に、この学校から出て行ってもらいます」

厳しい言葉を残したフーチ先生は、ネビルを連れて医務室へと姿を消した。

で、どう足掻いてもこれはフラグでしかない。
案の定、ネビルの祖母がネビルに送って来たという「思い出し玉」なる道具をドラコが拾って奪いからかい、挑発に乗ったハリーと共に激しい空中戦を始めた。もちろん箒の上で。
結局「思い出し玉」は無事にハリーが取り返し、ついでに偶然彼の飛行を見ていたマクゴナガル先生が血相を変えて現れハリーを連れて行ったのだが、Aは連れて行かれたハリーより場に残っているドラコに目を向け感動していた。

「(きちんと飛んでた！すごい！かっこいい！)」

ぶっちゃけ感動する相手が彼である必要があったのかどうかはともかく、彼女は今の自分に無い飛行技術に感動していた。
そして、そういえば、と思い出す。

「(彼はどの科目もそつなくこなしている)」

マルフォイ家は純血の名家とも聞く。家庭での教育と血筋のおかげで元来優秀なのだろう。しかもドラコは決して努力をしない訳ではない。家の名に相応しい自分でいるために、ちゃんと相応の努力はしている。あえて言うなれば、彼が誇るのが自分自身ではなく、属する何かなのが残念。でも彼女にとってそんなのは後々考えれば良い話。

「(………コンタクト、取ってみよう)」

とにかく優秀な人間に困り事を教わりたいAは、周囲にしてみればとんでもない決意を、静かに固めていた。

飛行訓練は、ハプニング以外はとても楽しかった。