紫紺の彼女はもう1人の最強Ⅴ (ページ49)

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Aside

最悪だ
なんで悟がここにいるの

なんで私は今、悟に抱きしめられてるの
なんで悟は、

泣いてるの

ごめんなさい
ごめんなさい、わからないの、、
もう何もわかんないの

抱きしめ返す資格もなくて
ただひたすら悟に抱きしめられていた

悟が私を離さないように片手でしっかり掴みながら
自分の上着を脱いで私にかける
逃げると思われてる

「A、寒くない？」

なんて答えていいかわからない
寒さも悟のあったかさも、わかんないの

『、、わ、かんない』
「、そっか。寒かったら言って」
そう言って抱きしめながら私の腕や背中をさする

『なんで、泣いてるの』

「Aが、泣かないから」

『わ、たし、、』

わかんないよ
どうしたら、いいの

「A、ちょっと揺れるよ」
視界が揺れて、気づいたら姫抱きにされていた

『、、重いよ』
「二人分だからね、幸せな重みだよ。A、空見て？」

空、そっか建物ごと吹き飛ばしたから
悟の潤んだ蒼い目から
空を映す

わ、、星、たくさん

家からでは地上の明かりが強すぎて
こんなに星は見えない

綺麗
たくさん光ってて
真っ暗な中で
これだけ光れば、お互いを見失わない

私は、この星にはなれない
輝けないから
血に染まって綺麗じゃないから

なんでこうなっちゃったんだろう
もっと普通に生きてこれていたら
こんなことにはならなかったのかな

見やすいように上を向かせてくれてたところから
左腕をあげて肩に凭れ掛からせてくれる

「やっと泣いたね」
『え、、』

初めて気づいた
自分の左手で頬を拭って
血と涙が混ざった掌を見て気づく

「あーあ。血と涙でよくわかんないね、一回シャワーで洗おうか。一緒に入ろ？」
返事もしない間に、気づいたらお風呂場で
悟に丁寧に脱がされて洗われた

その間も涙と嗚咽が止まらなくって
悟はふっと笑って拭ってくれる
優しい目で
こんな私を
受け入れてくれるの

ドライヤーをしてもらって
無言で奪って、悟の髪を乾かした

「やってくれるの？」
なんて嬉しそうに言うから
余計涙が止まらなくって
悟は見ないふりしてされるがままにしてくれた

「ありがとね。」

ベッドまで手を引かれて
横になる
悟は一瞬も私から手を離さなかった

『悟、、』

「ん？なーに？」

『っごめんなさい、』

私の髪を梳きながら
謝らないでと呟いた

「Aの気持ち考えてなくて、ごめんね」
首を振る、また涙が零れてくる

「Aの気持ち教えて？その涙の意味も、全部、教えて。」