紫紺の彼女はもう1人の最強Ⅴ (ページ24)

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そしてAは、大丈夫だと言って
硝子のもとに行かなかった

なんとしても行かせたいが
そんなこんなしていると
僕に出張の話がきた

交流会にはまだ早いが
交流会のための事前の打ち合わせを
今年の開催地京都で行うため

「やだ」
「だめだ」
「やだ、Aと離れるとか無理」
「一泊だぞ」

さっきから学長と言い合いだ
かれこれ10分くらい

「はぁ、、では、代理でAを連れていくしかないか」
「は？関係なくない？」
Aは先生ではない

「夫が仕事から逃げるんだ、妻が尻ぬぐいだろう。」
「ぐっ、、」
そうして俺は、負けた

Aに念押しして、
異変があれば即硝子に連絡するよう言う
わかった、大丈夫、を繰り返しているが
本当にわかってんだか。
最近、顔色もよくないんだよな。

しかも俺が出張行くからって
大量の呪霊討伐入れやがってるし。

気持ちはわかってる。
前にも一度話した、
どう考えても危険だから俺も行くとごねた時
俺に見られるのが嫌だと言っていた。
ただ、だからってこの状態でやるのかよ。

そう思った俺は、速攻で京都の用事を済ませ
あわよくば見守りたいと思い
予定より早く一度家に帰り、
Aの任務地を調べていたところで

シャワールームから物音がし
Aが帰ってきたことを知った

脱ぎ捨てられた衣類、
本来の綺麗好きなAではありえない

そして任務終わりとわかる
血まみれの白いワンピース

僕に気づいていない可能性があるな
敢えてそのままにして、
Aが風呂上りに飲めるよう
冷たいレモン水を作り始めた

作り終えたころ、
またバタバタっと音がして
トイレのドアが開いた音がして
聞こえてきたのはAの咳込む音、嗚咽

硝子の言った通り
吐いてる、、？

たまらず後を追い
ドアを開けると、
座り込んで壁にもたれかかり
苦しそうに肩で呼吸をするAがいた

抱えようとすると、その揺れがだめだったのかまた吐く
だが、おそらく胃に何も入っていない
吐き気だけがあるのか、、

俺にできるのは、背中をさすることだけ
じんわり汗をかく背中
濡れたままの髪から水が滴り完全に濡れているシャツの上から
優しくさする
見ていられない
何もできない

無力さを感じ、
落ち着いたころを見計らって
ソファに移動させレモン水を飲ませた

シャワーに入りたいと駄々をこねるAを
一度寝かせ、その隙にシャワーに入れ
高専に飛んだ

その間も全く起きないA
まじで何が起きてる

「硝子！」
勢いよくドアを開けた