紫紺の彼女はもう1人の最強Ⅳ (ページ19)

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あいつじゃなきゃ、ダメなんだよ
Aじゃなきゃ、

自分でもなんでこんな固執してんのかわかんねぇ
けど、
俺の本能が、Aを手放しちゃダメだと言っている
あいつの笑顔を
あいつの存在を、
温もりも匂いも
全部欲しいんだ

涙ですら、悲しい顔も
全部俺だけに向けてほしい

あの日、出会ったあの時から
Aの一つ一つが俺には輝いて見えて

一目惚れなんだよな

押し黙る俺に、夏目が続けた

「あんたが本気ってことは、わかったよ。Aから連絡あったら教える。あとさ、」
夏目が俺に目を合わせる

Aの赤じゃない
Aの赤いあの眼が
俺と混ざる紫紺の眼じゃねぇと、
ダメだ、
満足しねぇ

「Aはこの世界からいなくならないよ。きっと、しばらく姿を消したとしても、Aはあんたを支えることは辞めない。九十九さんも龍も私もいるこの世界を、やめることは絶対ない。」

「なんで言い切れんだよ。」

「Aの保護者としての勘。それに、この世界はあの子の全てだから。」
こんな状況でも焦りもしない夏目。
それは、Aへの絶対的な信頼があるからだ

俺はAを、信じないのか？
いや、Aを、信じている

そう思った途端、夏目の言葉が
ストンと俺の中に落ちた

そういえば、Aは何かあると
必ず熱いシャワーを浴びる
気付かずそのまま次に入ると
まじで熱くて驚くくらい

ニヤリと口角をあげて
「そんじゃ、頼んだよ。」と告げて
家に飛んだ

あー、気づかれたな
術式使ったのは失敗か

やってやるよ、A
追いかけっこしようぜ
ぜってぇ掴まえるから

と、意気込んだものの

もう1ヶ月、Aを見ていない
動きがマジで掴めない

夏目の読み通り、Aが仕事に穴を開けることは
絶対になかった
あの日の翌朝から何事も無かったかのように
Aから任務の報告が届くらしい

ただ、どこにいんのかをさりげなく聞いても
そこははぐらかされている

俺と七海に、折り返しの連絡や
LINEの応答はない

天城家が、と言ってもAが
リスケを申し入れたため
今月の御三家の集まりも延期された

Aのおかげで俺は教師の仕事に専念しつつ
時間を見つけては
Aの任務先にも出向くが
うまいこといつもすれ違う

追いかけっこっつーか
かくれんぼが上手すぎんだろ

そんなある日のこと
俺の携帯に珍しい着信があった

「はーいグッドルッキングガイ五条悟だよー」

「俺です。伏黒恵。」

「どしたのー？」
そうか、恵の所なら、、