鬼が巣食う山3 ページ6
「千代ちゃん！？」
『善逸！』
え、そこにいたの？
なんで木の上に…？
「また鬼狩りかァ？小娘ェ、そいつはもう負けてる。お前も仲間にしてやろう」
あの蜘蛛の男は何を言ってるの？
「おおおお前！！千代ちゃんに！ててて手を出すなぁ！！」
善逸が怯えた顔をしながら、声を上げてくれるけど、気の流れがおかしい。
今の善逸はあのぶら下がってる人たちと同じように感じる。
まさか、すでに何か攻撃を受けて…！？
「毒だよ。そいつは蜘蛛に噛まれたんだ。蜘蛛になる毒だ」
蜘蛛？蜘蛛なんて…
視線の先にいたのは、私の知ってる蜘蛛と違った。
人面だ…人面蜘蛛だ…わぁ……
『こんなことある！？』
叫びたい。もう、無理怖いやだ。
「怯えることはないぞォ。毒が回りきって蜘蛛になったら知能もなくなる」
「ひぃいいい、ひぃいい！！嫌だ嫌だァ！！蜘蛛になんてなりたくない、ひぃいいいい！！」
『善逸！しっかりして！！』
ダメだ、恐怖が優っている…
毒で善逸が蜘蛛にならないうちに仕留めなければ…！！
ーーー
この鬼狩りの小娘は手負いだ。
刀を構えて強がっているが、右足からの出血がひどい。
それにこの匂い…食欲が湧く！！
まさかコイツは…！！
「麻痺毒を打ち込め！！」
ーーー
蜘蛛男が叫ぶと、蜘蛛たちが飛びかかって来た。
この蜘蛛たちも元は人間だ…
まだ人間の気配を残してるなら助かるかもしれないッ！！
伸びてくる毒針を避けるが数が多い。
足に激痛が走り、左肩に針が刺さってしまった。
急いで毒針を蜘蛛から断ち斬ったが、
じわりと広がる嫌な感覚…
少しだが、めまいもする。
足の傷口からはまた血が出ている。
「お前は特別だ。蜘蛛にはしない」
『！？』
「俺たちの食糧になってもらう。
ゆっくりと手足に痺れと痛みが出てくるはずだ。大人しく…」
『断る。お前たちの餌になるつもりはない。
私の大切な友達もお前の仲間になんかさせない！！』
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作者名：りんらん | 作成日時：2020年9月29日 18時
