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猛毒 ページ49

油断した…ッ

素早い斬撃を天元様が受け流してくれたけど、
飛んできた血鎌が私の面を壊して頬を掠った。

『っ!?』

ジワジワと毒が体に入り込んでくる。

鬼たちとの攻防の合間、逞しい腕に引き寄せられて、
口に薬を詰め込まれて二階から外へ放り出された。

これ以上足を引っ張りたくない!!

外へ追手が来ない。

天元様が食い止めてくれている。

早く回復して、加勢に…。

『ヒュー、ヒュー…』

苦しくなってきた。

落ち着け…、
落ち着け落ち着け落ち着け…!

少し掠っただけだ。

掠っただけ…。

頬の傷から血が流れ、冷気が漏れる。

体中からドクンドクンと嫌に大きい鼓動が聞こえる。

『負け、るかぁ!!』

天元様に詰め込まれた解毒剤を飲み込み、
呼吸を整える。

『スゥゥゥゥ……』

私の体は毒を無効化できない。

でも凍血のおかげで少しなら毒素を冷気に変えて分解することができる様になった…。

神経毒に侵されたあの時とは、違う。

ここ数ヶ月、自分の血と体質を研究してきた。

結果、完璧に毒を無効化できないし、異物への反応で苦しくはなるけど、特異体質も合わせて毒が体にまわるのが遅いことが分かったんだ。

呼吸を使って毒の効き目をさらに遅らせろ!

こんなところで負けるわけにはいかない!!



ーードコォォオン!!!



『ぎゃ』

こっちに集中しすぎて、爆発音に普通にびっくりした。


「千代ちゃん!?」

『善逸…伊之助…?』

何してんの、そんなところに隠れて…

二人が天元様と鬼がいる店の外で中の様子を伺っていた。

「おい、千代姫どうなってやがる!!
てか、おめえどうしたんだ!?」

「千代ちゃん、大丈夫!?」

二人は私を安全なところに運んでくれた。

『ちょっと毒に、やら、れた…。
大丈夫…呼吸で、毒の効き目を遅らせたから…っ』

ああ、どんだけ強い毒なんだ。

まだ少しふらつくけど、少し毒を分解できた。

「無理すんじゃねぇ!!」

「そうだよ!!ちょっと休んで!完全に分解しきれるわけじゃないんでしょ!?」

『上弦がいる…!今戦わないで、いつ戦うの?
…ふぅ。私は大丈夫。心配かけてごめん』

「千代ちゃん…」

伊之助と善逸が本気で心配してくれているのが分かり、申し訳なくなった。

『二人ともありがとう。気をつけるよ』

「ふん!ならいい!てか、ドンドンボムボムすんじゃねーよ、入れねぇだろうが!!」



『あ、爆発がなくなった!』

「ヨッシャ行くぜ!」

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作者名:りんらん | 作成日時:2020年9月29日 18時

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