兄妹鬼2 ページ48
…が、目の前にはいない。
後ろ!?
今の一瞬で天元様の後ろに移動した…
なんて反射速度なの!?
お兄ちゃんと呼ばれた男の鬼は泣いている帯鬼をあやしている。
帯鬼はまた自分の頸をくっつけてしまった。
天元様と二人で鬼を狙うが、兄の方が放つ攻撃をくらってしまった。
「へぇ、やるなぁあ。攻撃止めたなぁあ。
殺す気で斬ったけどなあ。いいなあ、お前。
いいなあ」
一歩前に出た天元様が斬撃を止めてくれたおかげで、私は攻撃をくらわずに助かった。
あの武器は、鎌?
滴っているのは、血か?
白い肌に黒いシミ、痩せこけた身体付き…
帯鬼と本当に兄妹なんだろうか。
「『……』」
「お前、いいなぁあ。その顔いいなぁあ。
肌もいいなぁ。シミも痣も傷もねぇんだなあ。
肉付きもいいなぁあ。俺は太れねぇんだよなぁ。上背もあるなぁあ。縦寸が六尺は優に超えてるなぁあ。女にも嘸かし持て囃されるんだろうなぁあ」
妬ましい妬ましい。と、天元様を睨みながら
この男は喋る。
上弦の…陸。
兄妹で分裂している今分かるのは、
本体は間違いなくこの男の方だということ。
気配が違う。重みが…濁った感じだ。
嫌いな気の流れに顔をしかめる。
「そこの女は稀血かこりゃあ」
『…』
鎌鬼が私を睨みつける。
「お兄ちゃん!ソイツよ!その女がアタシの頸斬ったの!!二回も斬られたのよ!!」
「そうかぁあ。そいつは許せねえなああ。
お前は美味そうだぁあ。
お前一人で何百人、何千人分の御馳走だなあ」
『……ッ』
「じっくり嬲り殺して味わってやるからなぁ」
…この男、強い。恐怖心が体をすくませる。
今まで私を喰おうとした鬼の中でも
最も鬼舞辻の血が濃い鬼…!!
そう思うのは当然!!
「長いこと生きているがお前みたいな珍しい血は見たことないなぁあ。お前いいなぁあ」
鎌を振り回して、目に止まらぬ速さで
私を攻撃してきた。
『!!!』
「千代!!」
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作者名:りんらん | 作成日時:2020年9月29日 18時