怒りの意味 ページ32
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蝶屋敷に帰ると、
「え…」
千代が玄関で腕を組み、仁王立ちをして待っていた。
その後ろには善逸と伊之助が物陰に隠れていた。
『…炭治郎、おかえり』
「た…ただ、い、ま……」
まずいまずいまずい!!
口は笑っているけど、目が全っ然笑ってない!!
怒ってる…!!めっちゃ怒ってる!!
病室を勝手に抜け出したからか!?
「ごごごめんな千代!!俺どうしても!」
『言い訳不要!!』
「ヒッ」
『善逸、伊之助』
ビクゥ!!
「「は、はい!!」」
『炭治郎を病室に運んで』
千代に言われるがまま、善逸と伊之助によって病室のベッドに転がされた。
『完治もしてないその傷で出歩く奴があるか』
千代は俺を心配して怒ってる。
それは最初からわかってるんだ。
普段怒らない千代が怒ると鬼よりも怖い…
『傷が治るまで手足縛って動けなくしてやる』
「ええ!?」
どうすれば…
考えているうちに縄を持ち出した。
まずい!早く謝らないと…!!
「千代ちゃん…ちょちょっとおおお落ち着いてぇ!!」
「千代姫、お前大丈夫か!?いつもとなんか違ェぞ!!圧がやべぇ!!なにそんな怒ってんだ?」
二人も千代の豹変ぶりにあたふたしている。
「すいませんでしたぁ!!!」
「「!!」」
「心配かけてごめん!!俺…!俺の父さんが言っていた、ヒノカミ神楽のことが知りたくて、煉獄さんの家に行っていたんだ!
千代にもみんなにも、本当に心配をかけて申し訳ない…!!!」
布団の上で全力で土下座をすると、
『……』
ぽんっとひんやりした手が頭に乗った。
『わ、私もごめん…、頭上げて。炭治郎』
その声に顔を上げると
千代は申し訳なさそうに眉を下げたまま微笑んでいた。
『もう、みんな心配したんだからね』
「ごめん」
『色々気になることがあっても、怪我はちゃんと治すこと!いい?』
「ハイ!!」
『よし!炭治郎も無事帰ってきたし』
夕飯の準備手伝ってくる。と部屋を出て行った千代を俺たちは無言で見送り…
三人揃って大きなため息をついた。
「こここ怖かったぁ……!まだ震えが止まらないよ!?」
「なんだあいつ…あんな圧を今まで感じたことがねぇぜ。…勝てる気がしねぇ!だが、俺が親分だ!!」
「二人とも、千代は誰かを心配して怒る時あんな感じなんだ…。だいぶ心配かけちゃったなぁ。今回は許してくれたみたいだから良かったけど」
それから俺たちは絶対に
千代を怒らせないようにしようと誓ったのだった。
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作者名:りんらん | 作成日時:2020年9月29日 18時