列車の鬼 ページ27
ーーーなんだこの気配…
列車全体が気味が悪い。
少し前の方に来てみたはいいが炭治郎の姿がない。
出来る限りの大声を出して叫んだ。
『炭治郎ぉーー!!どこぉーー!?』
「千代!!目が覚めたのか!?みんなは!?」
え、上!?
炭治郎は列車の外か。
私も今いる車両の窓から列車の上に登った。
走る列車の上は風がすごくて、声が聞こえにくい。
『みんなはまだ眠ってる!…っと、一人起きたみたい!!』
後方車両から叫び声と共に激走してくる頼もしい仲間が…
「ウォオオオオ!!ついてきやがれ子分共!!
爆裂覚醒、猪突猛進!伊之助様のお通りじゃアアア!!」
伊之助が叫び声と共に列車の屋根を突き破って外に出てきた。
『わあ…寝起きで元気だなぁ』
炭治郎が前の車両上から叫ぶ。
「千代ーッ、伊之助ーーッ、この汽車はもう安全なところが無い!!眠っている人たちを守るんだ!!
この汽車全体が鬼になってる!!
聞こえるか!!この汽車全体が鬼なんだ!!」
「『!!』」
あの気味の悪い感じはそれか…!!
どこに首があるか分からないけど、倒すための方法がきっとある。
でも鬼の急所を探りながら、鬼となったこの汽車から乗客を守りながら戦わないといけない。
『!まずい…っ』
汽車の中に戻ると鬼の肉腫が乗客を狙って伸びてきていた。
刀を抜いて斬り裂くが、列車の至る所から次々と湧いてくるそれは人を襲い始める。
斬っても斬ってもキリが無い…!!
全体の状況がわからない…
目の前の人たちを守るので精一杯だ。
このままじゃ、炭治郎たちと連携も取れない。
『どうすれば…っ!?』
ドーン!!ガタンッ!!
いきなり列車が物凄く揺れ傾き、受け身をとるまでもなく、私の体は重力に負け、後ろに飛ばされてしまった。
『きゃぁぁぁ!!』
突然のことに恐怖の叫びをあげていると
がっしりと暖かい温もりが体を支えてくれた。
「千代!?」
『たっ、炭治郎ぉ…!』
その声に顔を上げると私の体はしっかりと炭治郎に支えられていた。
「大丈夫か?」
『う、うん…ありがとう///』
抱き抱えられたまま、心配そうに顔を近づけてくる炭治郎を直視できない。
「あ…///」
炭治郎も自分の今の状況を理解したのか顔を赤くしている。
すると目の前に煉獄さんが現れた。
煉獄さんが移動した音だったのか。
今の体勢を見られてしまったことに、恥ずかしくて爆発しそうだった。
「お前たち、何をしている?」
「あ、いや、これは…」
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作者名:りんらん | 作成日時:2020年9月29日 18時