検索窓
今日:14 hit、昨日:21 hit、合計:66,337 hit

夢の中2 ページ25

ーーー


夢?…そうか、今は列車の!!



思い出した。

早くみんなの元へ戻らなければ…



「千代」



優しい心配したような声が後ろから聞こえる。

振り向いちゃ、ダメだ。



『母さん、ごめん。私、もう行かなきゃ』

「……そう、夕飯は千代の好きなものを作って待ってるわね?」

『っ!』



違うんだよ、母さん。
そこらに遊びに行くんじゃないんだ。


もう、会えないんだよ。

一緒にいられないんだ…


涙が止まらない。

振り向いたら、もう離れられなくなるのが目に見えている。


走った、ひたすら走って走って走って…


吹き荒れる吹雪が先に進むのを遮る。

いつもはこんなのへっちゃらなのに…

今日はやけに寒く冷たく厳しく感じる。



どうすれば出られる?


ここは夢…

目を覚ますには、夢の世界にサヨナラするしかないなら。


震える手で刀を首元に当てた。


『はは…間違ってたら、笑えないよね…』


でもこれしか思いつかない。



現実の世界で生きるために!!



ザシュッ



覚悟を決め、恐怖で力が入らない手に精一杯力を込めて動かした。



ーーー皆が知らぬ間に鬼の術で眠らされ、
精神の核を破壊するため、無意識領域に他人が侵入しようとしていた。

千代もまた術にかかり、今一人の少女が
千代の無意識領域に侵入した。


だが、彼女の無意識領域は通常の人間が長くは居られない程の極寒の地だった。


早く精神の核を破壊しなければ…!!

寒い…肺が凍りそう…
手足の震えが止まらない…

冷たく荒れ狂う吹雪が体温をみるみる奪っていく。
髪や体、着物が凍り付いていく。


「こんなところでやめるわけにはいかないの!私は母さんに、母さんにもう一度会う夢を見させてもらうんだ!!」


夢の中でなければ凍死してもおかしくない状況

それでもなんとか諦めずに前へ進み続けると

吹雪が止み、ちらちらと雪が舞う美しい銀世界が広がっていた。


その中央に千代の精神の核が淡くキラキラと輝いている。


ーーーその世界は見惚れる程、綺麗で美しかった。


ひんやりした風が吹くと共に、少女の心は浄化されていくようだった。


「…でき、ない」


こんなに美しい世界を壊すことなんてできない。


少女が膝をついた時、




夢が終わったーーー

目覚め→←夢の中



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (18 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
40人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:りんらん | 作成日時:2020年9月29日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。