機能回復訓練 ページ15
カナヲには勝てない。
俺も善逸も伊之助も彼女の湯飲みを押さえることはできないし、捕まえることができない。
それから五日間カナヲに負け続ける日々が続く。
俺たちはカナヲの髪の毛一本すら触れられなかった。
ーーー訓練場にて
「千代さんは今日から訓練参加ですので、ご説明させていただきますね」
千代が訓練に加わった。
訓練内容を聞いただけで、
思わずため息が出たが他の二人も同じだった。
「何かご質問はありますか?」
『……だ、大丈夫です。お、お手柔らかにお願いします!』
千代は少し緊張しながらも訓練を開始した。
今は、腕やら足やら背中やらをすごい角度でほぐされているのだが…
『ぅっ、ぐっ、ぃ…あっ、んぅ、』
「ここですか?」
『ひっ、ぁ、ぁ…っ、』
「「///」」
あの千代さん…痛そうなんだろうけど、ちょっと…
色っぽ……いや、くすぐったいだけだ!!
「「「…///」」」
千代が可愛すぎて、心臓がもたない…!!
「大丈夫ですか?千代さん」
『う、うん!このくらいなら大丈夫!』
「千代さんは元々体が柔らかいんですね!」
『そうなのかな?』
…
「では、次は反射訓練です」
『はい!』
相手はカナヲだ。
千代が向かい合う様に座ると、
ふと笑みを浮かべ…すぐに表情を消した。
スッ…
なんだ?千代の雰囲気が変わった。
集中力を高めている。
見入る善逸と伊之助からも緊張が伝わってくる。
「始め!!」
ダタタタタタタ…!!
「「「!?」」」
追えない…なんて速さだ!!
二人とも涼しい顔をして、湯飲みを押さえあっている!!
スッ
抜けた!!
一つの湯飲みが相手の頭に乗った。
「「す、すげぇ…」」
隣の二人から自然と出た声に俺も共感した。
「千代さん、すごいです!!カナヲさんに勝つなんて!!」
「しかも初めてなんて信じられない!」
三人娘ちゃんたちが千代のまわりに駆け寄り、千代はひとりひとりの頭を優しく撫でる。
「千代……」
勝ったのは、千代。
見事に湯呑みを一発で抑えてみせた。
湯飲みを頭に置かれたカナヲはキョトンとしている。
『良かったぁ、カナヲに勝てた〜』
「千代…っ、すごいね」
『ううん!カナヲ目がいいんだね〜?ギリギリだったよぉ』
千代が仲良さそうにカナヲと話している。
カナヲが喋ってるところ初めて見た。
千代、いつの間にカナヲとあんな仲良く…(感涙
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作者名:りんらん | 作成日時:2020年9月29日 18時